アルバイトでパワハラと判断される基準とは?事例や4つの対処方法を紹介
アルバイト先で理不尽な対応を受け、悩むことはありませんか?職場で上司やスタッフから暴力・暴言を受けることは、とても辛いものです。
一方、自分が受けた行為をパワハラ(パワーハラスメント)と判断できず、1人で抱え込んでしまう人は少なくありません。
本記事では、アルバイト先でパワハラと判断される基準や対処法をまとめました。理不尽な対応から自分を守るためにも、ぜひご一読ください。
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【目次】
1. 【事例】アルバイト先でパワハラと判断される6つの基準
2. アルバイトなど職場におけるパワハラの定義とは
3. アルバイト先でパワハラを受けたときの4つの対処法
4. アルバイト先でパワハラを受けたら退職することも1つの方法
5. パワハラ被害を受けにくいアルバイト先を探す3つのコツ
6. アルバイト先におけるパワハラでよくあるQ&A
7. まとめ
【事例】アルバイト先でパワハラと判断される6つの基準
厚生労働省では、パワハラの基準として下記の6つを定めています。
No. | 基準 | 概要 |
---|---|---|
1 | 身体的な攻撃 | ・暴力をふるう |
2 | 精神的な攻撃 | ・脅迫する ・名誉を傷つけるような発言をする ・侮辱するようなひどい暴言を浴びせる |
3 | 人間関係からの切り離し | ・わざと孤立させたり仲間から外したりする ・無視をする |
4 | 過大な要求 | ・明らかに対応が難しいことを無理にさせようとする ・仕事をわざと妨害する |
5 | 過小な要求 | ・特に理由がないのに、能力や経験とかけ離れた簡単な仕事を任せる ・わざと仕事を与えない |
6 | 個の侵害 | ・必要以上にプライベートへ立ち入る |
参考:厚生労働省
以上はあくまで基準の例です。あてはまらないことが、パワハラと判断されないわけではありません。
ですが、基準を知っておけば、自分が置かれている状況を客観視するきっかけになります。では、それぞれ見ていきましょう。
基準1.身体的な攻撃
該当する事例 | 該当しない事例 |
---|---|
・書類を投げつけられる ・「指導だ」と言いながら叩かれる ・すれ違いざまに蹴られる |
・うっかりぶつかる ・思いがけず手があたる |
1つ目は、殴ったり物を投げつけられたりする、身体的な攻撃です。
自分が目に見えるケガをしていなくても、意図的に暴力がふるわれていたらパワハラと判断できます。
もし、店長から「仕事を覚えてもらうために必要な行為だ」と事前に説明があっても、理不尽な暴力を我慢する必要はありません。
基準2.精神的な攻撃
該当する事例 | 該当しない事例 |
---|---|
・社員全員の前でミスをののしられる ・「こいつは仕事ができない」と言いふらされる ・人格を否定するような発言を受ける |
・遅刻や無断欠勤を注意される ・顧客情報を外部で話したことを注意される |
精神的な攻撃には、脅迫や人格を否定するような暴言などが当てはまります。
「こんな作業も覚えられないなんて、使えないスタッフだ」のように、人格を否定するような発言もパワハラです。
基準3.人間関係からの切り離し
該当する事例 | 該当しない事例 |
---|---|
・仕事に必要な連絡事項を共有しない ・自分だけ食事会や忘年会などのイベントに呼ばれない ・やるべき仕事を任せてもらえない ・説明がないまま、長期にわたり自宅での研修を指示される |
・別室で新人研修を受ける ・バイト先のルールを覚えるため、個別に研修を受ける |
3つ目は、仲間外れや無視など人間関係から切り離されることです。
まじめに働いているのに、自分だけ連絡事項を教えてもらえなかったり、集団で無視されたりする場合は、パワハラにあたります。
基準4.過大な要求
該当する事例 | 該当しない事例 |
---|---|
・明らかに勤務時間内に終わらない量の仕事を押しつけられる ・研修なしで仕事を任されたうえ、できないことに対して厳しく叱られる |
・アルバイトの成長のために、少しむずかしい業務を任される ・繁忙期に通常よりも多い仕事の依頼を相談される |
過大な要求とは、明らかに対応が難しいことを無理にさせようとする行為です。
「自分だけ閉店後も仕事させられる」「教わっていない業務なのに、できないと怒鳴られる」などもあたります。
一方、スタッフの成長を見込んだ指示や、繁忙期のため協力を依頼されるときは、パワハラにあたらないケースがあります。
基準5.過小な要求
該当する事例 | 該当しない事例 |
---|---|
・接客のバイトなのに裏方仕事ばかり指示される ・シフトに入っているのに仕事をさせてもらえない |
・アルバイト一人ひとりの得意なこと・苦手なことに合わせて、業務量を減らす |
5つ目の基準は、理由もなく本来の業務より簡単すぎる仕事ばかりを与えるような「過小な要求」です。
本来対応できる仕事を意図的に与えない場合も、パワハラに該当します。
「気に入らないから」「辞めて欲しいから」のような理由で仕事を与えず、精神的に追い詰めて退職へ誘導するケースもあります。
基準6.個の侵害
該当する事例 | 該当しない事例 |
---|---|
・スマートフォンの画面やバックの中をしつこくのぞき見される ・仕事に不要なプライベート情報を何度も聞き出そうとする |
・シフトや休日を調整するために、学校や家庭の状況を簡単に聞く |
アルバイトのプライベートな事情に対し、必要以上に踏み込んでこようとすることを「個の侵害」といいます。
許可していないのに持ち物の写真を撮られたり、知られたくないことを勝手にバイト仲間に暴露されたりする場合です。
スマートフォン画面をこっそりのぞきこみ、本人の許可なく他のスタッフへ話す行為もパワハラにあたります。
アルバイトなど職場におけるパワハラの定義とは
職場におけるパワハラの定義は、厚生労働省によって下記と定められています。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
引用:厚生労働省
パワハラは、職場において抵抗や拒否できない立場を利用しておこなわれる行為です。
- 職場で自分よりも立場が上となる店長や先輩
- 協力して業務をおこなう必要がある同僚
上記などから、仕事をするうえで必要ない発言や行動を受けた場合、パワハラが疑われます。
ただ、定義があるものの感じ方は人それぞれです。
「自分にも非があるのでは?」と我慢を続けると、体調を崩してしまい、仕事だけでなく日常生活に支障をきたします。
もし、自分がパワハラを受けていると少しでも感じたら、早めに対処することが大切です。次ですぐにできる4つの対処法を解説しますので、ぜひ続けて参考にしてください。
アルバイト先でパワハラを受けたときの4つの対処法
アルバイト先でパワハラと思える行為を受けたときは、以下の4つの対処ができます。
1.パワハラの内容を記録する
2.家族や信頼できる友だちなどに相談する
3.会社の相談窓口を利用する
4.カウンセラーや公的機関などの専門家に相談する
では、1つずつ紹介します。
対処法1.パワハラの内容を記録する
1つ目の対処法は、アルバイト先で受けたパワハラと思える内容を記録することです。事実を残しておけば、相談窓口や公的機関などへ相談するときに役立ちます。
なるべく、下記の内容を詳しくメモしておきましょう。
<記録しておく内容の例>
●パワハラを受けた日時
●パワハラを受けた場所(お店の休憩室・倉庫など)
●今まで言われたこと、されたこと
●パワハラを受けたときに周囲にいた人
ポイントは、パワハラに当てはまるかどうか判断に悩むことでも、すべてメモしておくことです。
自分では判断が難しくても、専門家の視点で見れば有力な証拠になる場合があります。
状況によっては、スマートフォンの録音アプリやボイスレコーダーなどを使い、音声を記録する方法も有効です。
ただし、必要がない録音は職場の環境を害する迷惑行為と誤解されるため、慎重におこないましょう。
対処法2.家族や信頼できる友だちなどに相談する
家族や信頼できる友だちなどに相談することも、対処法の1つです。
不安な気持ちがやわらぐだけではなく、第三者の意見を耳にすることで、自分の状況を客観視できます。
前述のとおりパワハラは判断が難しいため、「自分に原因があるのでは?」と我慢してしまうケースがあります。
正しい対処ができなければ、深刻な状況に気がつけず、精神的に追い詰められるかもしれません。
もし自分がアルバイト先で受けた行為をパワハラと言い切れなくても、早めに信頼できる家族や友だちに打ち明けてみましょう。
対処法3.会社の相談窓口を利用する
3つ目の対処法は、アルバイト先を運営する会社の相談窓口を利用する方法です。アルバイトでも、会社が設置した専用の窓口を活用できます。
2020年に改正された下記の「改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、相談窓口の設置は事業者の義務です。
(雇用管理上の措置等)
第三十条の二事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
また、相談員は秘密を守るため、本人の同意がない限り店舗スタッフなど他者へ公表されることはありません。
なお、窓口へ相談する前に下記を整理しておくと、スムーズに話を進められます。
<会社に相談する前に整理しておく内容例>
●いつ頃、だれからどのような行為を受けたか?
●今はどのような気持ちか?
●不眠や涙があふれるなど、心身の健康状態で心配なことはないか?
●会社に対応して欲しいことはあるか?
できれば、パワハラと思える行為が始まった頃から、最近までの出来事を時系列順にまとめておくと、相談員が把握しやすいです。
会社に相談する際は、パワハラと言い切れる事実がなくても問題ありません。
大切なのは、体調を崩すような深刻な状態になる前に相談することなので、思い切って相談しましょう。
対処法4.カウンセラーや公的機関などの専門家に相談する
会社や身近な人への相談が難しい場合は、カウンセラーや公的機関などの専門家への相談を検討しましょう。
不安な気持ちに寄り添って話を聞くだけでなく、今後取るべき行動を専門家と一緒に考えられます。
下記は、相談窓口の一例です。
<パワハラ相談窓口の一覧>
●厚生労働省:ハラスメント悩み相談室
●法務省:みんなの人権110番
●法務省:かいけつサポート
●日本司法支援センター:法テラス
●一般社団法人 日本産業カウンセラー協会:JAICOハラスメント相談窓口
だれでも弁護士や司法書士を身近に利用できるように作られた組織を、日本司法支援センターと言います。
また、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会とは、職場でカウンセリングをおこなう相談員が運営する団体です。
パワハラの悩みは相談することそのものに勇気が必要なため、我慢を続けてしまうケースがあります。
ですが、紹介したパワハラの相談窓口には、まずは無料でSNSから相談できるサービスなど利用しやすい仕組みがあります。
専門家のアドバイスを受ければきっと解決できるので、ぜひ早めの相談を検討してください。
アルバイト先でパワハラを受けたら退職することも1つの方法
アルバイト先でパワハラを受けたときは、退職を考えることも1つの方法です。パワハラを我慢し受け続けると、体調を崩す場合があります。
深刻になると、うつなどで今までどおり日常生活を送れなくなる恐れもあるので、環境を変えることも考えましょう。
アルバイトは1つではありません。もっと活き活きと働ける環境は必ずあるので、新しい職場を探すことも考えましょう。
もし、退職を申し出てもなかなか辞めさせてもらえない場合は、下記の記事を参考にしてみてください。
>>バイトを辞めさせてくれない時に確認したい法律と取るべき行動
なお、パワハラ被害を受けにくいアルバイト先を探すときは、押さえておくべきコツがいくつかあります。
次項で解説しますので、続けてみていきましょう。
パワハラ被害を受けにくいアルバイト先を探す3つのコツ
ここで、パワハラ被害に遭いにくいアルバイト先を探す3つのコツを紹介します。
1.複数のアルバイト先へ応募する
2.応募前にアルバイト先へ行ってお店の雰囲気を確認する
3.面接時に希望の条件や待遇をなるべく伝える
では、順番に見ていきましょう。
コツ1.複数のアルバイト先へ応募する
1つ目のコツは、複数のアルバイト先へ応募することです。面接や内定連絡などの対応を比較できるので、内定前に気がつけるケースがあります。
例えば、次の点を比較してみましょう。
<アルバイト先の比較ポイント例>
●採用担当者の発言やメッセージが一方的ではないか?
●希望しない曜日や時間帯に、相談なくシフトを入れようとしないか?
●質問に丁寧に答えてくれるか?
ただし、応募するバイト先はどこでもいいわけではありません。「この職場へ勤務したい」と思えるバイトに応募することがマナーです。
なお、バイトの複数応募で失敗を防ぐには、ポイントがあります。下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
>>バイトの複数応募はNG?失敗しないために知っておくべき4つのポイント
コツ2.応募前にアルバイト先へ行ってお店の雰囲気を確認する
応募前にアルバイト先へ行って、自分の目でお店の雰囲気を確認することも大切です。
なぜなら、求人情報から受ける印象と実際の店舗では、イメージが異なる場合があるからです。
お店の雰囲気を確かめるときは、次の点に注目しましょう。
<店舗における雰囲気のチェックポイント例>
●スタッフの表情が暗くないか?
●スタッフを叩く・叱るなどの光景がないか?
●スタッフが連携をとりながら仕事を進めているか?
もちろん、来店時にお店の状況がすべてわかるわけではありません。ですが、実際に店舗を訪れれば自分の目で確かめられます。
スタッフ間のやり取りや話の内容などに耳を傾け、自分に合う雰囲気かどうかをチェックしましょう。
コツ3.面接時に希望の条件や待遇をなるべく伝える
3つ目のコツは、アルバイトの面接時に希望の条件や待遇をなるべく伝えることです。
伝えたいことがあるのに遠慮していると、主張をしない人という印象になり、無理な要望をされる恐れがあります。
もし「毎日シフトに入ってもらわないと採用できない」と言われても、対応が難しいならはっきりと断りましょう。
面接時に自分の希望を主張するには勇気がいりますが、意見として伝えるのであれば問題はありません。
バイト先によっては、要望や言動が攻撃的になっていくケースがあるため、自分の意見をなるべく伝えましょう。
アルバイト先におけるパワハラでよくあるQ&A
ここで、アルバイト先にパワハラを受けたときによくある質問をまとめました。
Q1.アルバイトでパワハラを受けたら法的に訴えられる?
Q2.パワハラの加害者へ損害賠償を請求できる?
では、それぞれお伝えします。
Q1.アルバイトでパワハラを受けたら法的に訴えられる?
パワハラを法的に訴えることは可能です。
訴訟の前に、労働者と事業主の間で発生した労働関係のトラブルを迅速に解決する「労働審判手続」という手続きもあります。
いずれも証拠を集めるなど、入念な準備が必要です。もし、すぐに公的機関へ状況を訴えるのであれば、まずは労働局へ相談してみましょう。
Q2.パワハラの加害者へ損害賠償を請求できる?
損害賠償を請求できるケースはあります。
「怪我をさせる」「SNSに悪口を書き込み、評判を落とす」など、相手に不利益を与えた場合は、加害者に損害賠償を請求できます。
なお損害賠償とは、加害者が被害者へ与えた損害を金銭で償うことです。
発覚から3年をすぎると請求できなくなるため、必要があれば公的機関へ相談し早めに準備を進めましょう。
まとめ
パワハラの基準は、厚生労働省によって定められています。
ですが、人によってとらえ方が異なるので、基準に当てはまらなくてもパワハラと認められないわけではありません。
アルバイト先でパワハラと思える行為を受けて悩んでいるのであれば、1人で抱え込まずまずは誰かに相談しましょう。
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