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条件で選ぶな、「ワクワク」を探せ!
―好きな仕事へのモチベーションが、チャンスを引き寄せる―

リグナ株式会社 小澤良介
小澤良介(おざわ  りょうすけ)
リグナ株式会社 代表取締役社長

1978年生まれ。明治大学卒。在学中に業務請負事業を手がけ、卒業と同時に有限会社リックアンドブレインズ(現:リグナ株式会社)を設立。インテリア事業のほか、飲食店顧問も歴任する。2004年、総合プロデューサーとしてデザイナーズ家具オンラインショップ「リグナ」をオープンし、当時インテリア業界にほとんど浸透していなかったEC(eコマース。電子取引)市場に切り込み、新風を巻き起こした。 2010年、TVドラマ『月の恋人』の監修を担当して注目を集め、世間一般のインテリアへの意識を高めるきっかけをつくる。その後も国産デザイナーズ家具オンラインショップ「ガラン」の開設や「AZO(アゾ)」「SIROMUK(シロムク)」など自社ブランドの展開のほか、自身は店舗空間のデザイナーとしても活躍。いっぽうで母校の明治大学の特別講師や、EC専門学校のサムライECカレッジで学長を務めるなど、インテリアを切り口として多方面に活動の場を広げている。

「インテリアが大好きだから」。その強い気持ちが起業する原動力に

リグナ小澤良介社長

―まずは、リグナの事業内容についてご説明をお願いします。

  デザイナーズ家具のネット販売を軸にしつつ、東京福岡にショップを構えています。ショップは、ネットで見たアイテムを実際に確認する場所として、またそのアイテムをご購入いただく場所としても活躍しています。ネットとリアル店舗の「ハイブリッド型」というシステムですね。ほか、ホテルやレストランのような店の設計デザインからブランディングに至るまで、ワンストップで手がけたりしています。

―小澤さんは学生のころ、すでに起業されたとうかがいました。

  起業というほどのものではないですが、学生の時に業務請負事業をしていまして、それを大学を出てすぐ有限会社にしました。それがリックアンドブレインズです。学生を対象にした人材派遣の仕事で、チラシやビラ配りをするスタッフ、テレビのエキストラ、海の家の仕事などを紹介したりしていましたね。

  でも、実は僕自身、仕事が楽しくなくて……学生の延長のようなものでしたし、多少は稼げてはいたのですが、区切りをつけてやめたんです。「大学を卒業したら、好きなことをして生きていきたい!」と、ずっと思っていたなか、ある時ローテーブルが必要になり、それをネットで探して買ったんですが……なんか腑に落ちなかったんですよ。「自分だったらもっと(この家具を売るために)カッコいいサイト作るのに」と。
  僕はもともと家具が大好きなんですけど、自分の好きなことほど、細かいところが気になったりするじゃないですか。例えば、洋服が大好きな人は、ちょっと襟の形が気に入らないと、どうのこうのと言い出したりしますよね(笑)。それと一緒で、僕もそのローテーブルを買った時に「値段は確かに安いけれど、もう少しカッコいいサイトにすれば、もっと売れるはずだろう」って。それが、「リグナ」をオープンしようと思ったきっかけですね。

―なるほど。ほかに「リグナ」を開設したきっかけのひとつとして、ダーツバーの内装を手がけたことがある、とうかがいましたが。

  それはほんとに、ちょっとだけなんですよ。大学卒業した次の日に仲間とバーをオープンしまして、僕は内装を手がけました。確かにそれは、インテリア好きを改めて気づかされた出来事であり、ひとつの経緯ではあるけれど、実は自分のなかでは、あまり大きなことと捉えてはいないんです。引き続きバーの仕事も手伝って、それはそれで楽しかったけれど、やっぱり僕としてはインテリア関係の仕事だけをしたかった。だからそこは抜けて、ひとりでインテリア事業をやることになりましたね。

―なるほど。そうしてインテリアの道を目指されたわけですが、就職活動はされなかったのでしょうか。

  一応、したんですよ。大手の広告代理店や、音楽関係の会社も受けましたね。内定も何社かいただきましたが、結局、選択肢として就職という道は、選ばなかったですね。それでも就職活動をしようと思ったのは、自分は社会のなかでどれほど認められるのか?を、知りたかったからなんです。自分自身を試した形ですね。その結果、内定がとれたりしたものですから、じゃあ何とかなる、自分でやろう!って、吹っ切れた。新卒とか、キャリアとか、そういうことは全然意識していませんでしたよ。とにかく「やりたいことをやりたい」という気持ちが、すごく前に出ていましたからね。

車が好き、アートが好き。すべて今につながっている

Rigna小澤良介さん

―学生時代でほかに何か熱中していたことはありますか?

  バイクや車が大好きだったので、高校生の時は、とにかくバイクに乗れる仕事を探していましたね。新聞配達とか、ピザの宅配とか。大学に入ってからは、バイク便や、ガソリンスタンドや……全部、乗り物に関係していることをやりましたね。幼稚園のころから車好きでして、通りすがる車の名前を言えたりしたくらいですよ(笑)。

―それはすごい! 家具も、もともとお好きだったということですが、それに何か思い当たることはありますか?

  ありますよ。幼少期に、実家が建て替わったんです。実家はもともと和風の平屋の一軒家でした。寝る時は布団を敷いて、一家団らんの時はコタツ、食事する時は座布団に正座して。 それがバブルのさなか、父親の仕事も好調だったということもあり、洋風のアメリカンハウスに建て直されたんです。布団がベッドになり、コタツがリビングのソファーセットになり、ストーブが暖炉になって……。

―環境が劇的に変化したんですね!

  インテリアでこんなにも変わるのか、と感動しました。人生観が変わるくらい。そこからですね、家具に興味を持ったのは。

  ほか、僕の好きなことにアートがあるんですが、学生のころに若手のアーティストが描いた絵を集めてレストランに行き、「一か月ごとに交換するので、月○○円で絵を飾りませんか」といった営業をした経験があります。僕自身もともと幼稚園の時から10年くらい、絵を習ったり、好きでたくさん描いていました。学校に通うようになってからも美術が一番好きでしたし、得意でしたね。
  僕はインテリアにはアートを必ず取り入れています。ニューヨークではそれは当たり前のことで、まだ日本には浸透していないのですが、極端な話、アートのない部屋は部屋じゃないっていうくらいです(笑)。そういう「好き」はすべて今に繋がっていますね。車についても、今後、リグナで内装を手がけていけたら、と思っています。

―インテリア事業でやっていこうと思ったのは「インテリアが好き」という気持ち以外でも、可能性を見出してのことでしょうか。

  もちろんそうですね。当時、僕自身が家具を探していて感じたことですが、まだそんなに家具やインテリア市場において「ネット販売」というジャンルが確立されていなかったんです。あともうひとつ、通販カタログ雑誌で家具が売れ出した時期だったのもあります。同じ2次元なんだし、本で売れてネットで売れないわけがないだろうと。それで、ここは攻めていけると思いましたね。

目標は掲げない。最高の「エフェクター」として進化し続けるリグナ

リグナテラス東京にて

―オンラインショップから始まったリグナですが、やがて店舗も持たれますね。

  ショールームをつくったのはお客様の要望からです。アートギャラリーの一部スペースを数万円で間借りし、そこで展示を始めました。でも、比率としてはお客様の半分以上はネットで買ってくれていますよ。徐々にその比率は落ちてきてはいるんですけれど、分母が大きくなっているのもあるし、ショールームも広くなったことで、当然店で買うお客様も増えていますから。

―最初は世界のデザイナーズ家具を取り扱っていましたが、やがて日本のデザイナーズ家具サイト「ガラン」を立ち上げられます。国内に目を向けた理由はなんでしょう?

  いろいろありますが、やはりクオリティの高さのほか、国内だと融通が利くというのがあります。日本のお客様は「(テーブルの)脚の長さを変えたい」といった、こだわる方が多いんです。海外だとどうしてもコストが高くつきますし、難しいですが、国内なら融通が利くのでロット(単位)に関係なく、そういうニーズに対して即座に応えられます。それが理由のひとつですね。

  あとは、人間関係を深めていきやすい点があります。ショップは東京と福岡にありますが、福岡に拠点があるのは工場がたくさんあるからです。お酒が飲めるスタッフをそこに置き、工場長と仲良くなってもらったりしています。酒を酌み交わして縁を深める、という文化がいまだに根強い業界ですから。もちろん、海外にも締結し、拠点としている工場もあるんですけど……円安(2015年2月現在)の影響もありまして、なかなかうまくはいかないですね。でも、それがかえって国内のニーズを戻してきているのかなって思います。

  ものづくりって、今どんどん海外、特にアジアや中国へ分散してきてはいるんですけれど、意外と国内でも生産を引き受けてくれていると感じています。木材の加工なども日本国内でやれば環境的にもやりやすいし、信頼もありますので、自社ブランドを含め、展開していきたいと思っています。もちろん、海外メーカーのほうも今後も力を入れていきますけどね。

―リグナが目指す未来の姿や、目標は何でしょうか?

  実は「目標」というものを僕らは明確に掲げていないんですよ。目標というのはいつでも変わるもの、進化していくものだと思っていまして、明確すぎる目標はかえって足かせになると考えているんです。好きでしていることを体現化していくために、あえて柔軟な体制でいたいと。でも、「みんなのライフスタイルをカッコよく」というひとつのカンパニーポリシーというのはあります。

  もうひとつ言うとしたら、僕らはよい「エフェクター(影響を与える存在)」でいたいと考えています。インテリアってアート的なものだから、勉強してもよくわからないし、なかなか答えも出ない世界。そもそも何がカッコいいのかわからない!ってお客様が多いんです。なら、僕らがその方向を示すエフェクターであり、パートナーでありたいって思いますね。インテリアにおける、最も影響力のあるエフェクターとなられたら最高ですし、リグナがいいって言ったからこれは素敵なんだ!と思える人が増えたら嬉しいですね。

苦しいことはないほうがいい。仕事はモチベーションを高めるものを

インテリア家具のリグナ小澤社長

―小澤さんはTVドラマ『月の恋人』の監修をされたことでも注目されましたね。

  ある日フジテレビから電話がかかってきたんです。それは、家具を使わせてほしいというより前に、インテリア会社の社長に関するドラマをつくるので、そのインタビューをさせてくださいというお話でした。その時に、内装のコーディネートも一緒に担当することになりました。以降のドラマでもインテリアの監修にたびたび携わっています。その結果、ドラマで使用された家具を探しに来てくださるお客様もいらっしゃいますし、実際、売れているソファはドラマで使われたソファだったりしますから、受けてよかったと思っています。

―小澤さんは母校の明治大学やECの専門学校で講義をされています。どのようなお話しをされているのですか?

  僕はほんと、一点張りで。「好きなことを仕事にしろ」と言っていますね。好きなことをすれば仕事自体もワクワクできて、向上心もどんどん上がる。次から次へと体が吸収しようとするので、結局効率がいいんですよね。お金のためだけじゃなく、お金じゃない部分での努力が、結果的に身になっているんです。そういった啓発的な話とか、自分の体験談をベースにした話が多いです。

―事業をされている方のなかには、「あえて厳しい世界に飛び込むべきだ」「苦手なことも率先してやるべきだ」とおっしゃる方も多いですが……。

  それも正論だと思います。あくまで、人それぞれの生き方なんで。でも、僕にとっては、苦しい時間なんてないほうがいいに決まってる(笑)。楽しいほうがいいでしょう。同じ人生でも、その幅は生きる寿命分しかないから、どう楽しむかが僕にとっては重要なんです。
  EC専門学校で教えることも同じです。結局ECをやるにも、好きなことをベースにしたほうが「ここはもっと、こうしたほうがいいのでは?」といった「気づき」を持てる。好きなことに対するフラストレーションが、ビジネスチャンスにつながるんです。じゃあ、具体的にはどうやって好きなことを見つけるのか? それらを講義で話しています。

―若い人のなかには「自分の好きなことが分からない」と悩む人が多いですよね。

  多いです。みんなそうですね。好きなことを見つけたら、あとはそれがビジネスにできるかできないかを分析すればいいだけの話なんですが……みんなそういう自己分析に時間を使わないんですよね。企業分析ばかりして、その会社に受かるためのアプローチをしてしまいがちですが、時間のかけ方を間違えてるな、って思っちゃいます。もっと「これをやれば自分のスキルが磨けるから、そのためにこういう会社で働きたい」とか、「自分にはこれができるから起業しよう」という考え方にすべきだと思いますね。

―小澤さんが働くうえでのポリシーがあればお聞かせください。

  とにかく、「ワクワク」すること。ひとつに絞れば、それに尽きますね。あとはやっぱり「顧客のニーズに応える」ということが重要だと思っています。お客様の声こそがビジネスチャンスだし、会社がここまで成長できたのも、お客様の声をモノにして反映したからでしょうね。そのために僕らは、インテリアのプロであると同時に、素人目線で見ることを心がけています。僕らが当り前だと思っていることを普通だと思うな、と。そこはいつも社員には言い聞かせています。

企業分析よりも自己分析。本当に自分が好きな場所で働こう

リグナテラス東京カフェレストランWENTにて

―それでは、学生や就職活動生にメッセージをお願いします。

  先ほど述べた通りになりますが、就職活動で会社の名前や規模、条件などで探すのはやめて、まず「自分にとって本当に好きなことは何か」を、ちゃんと見つめなおすこと。学生時代はそれを見出す時間です。いろんなものをインプットして、そのインプットしたなかから好きな分野を追究し、将来の就職先や、起業に備えるべきじゃないかと思います。だからこそ、採用する側も、会社の本当の「ウリ」は何か、会社として学生に何を求めるのかを、明確にする必要があると思いますね。採用した新社会人のモチベーションをコントロールしていく上でもそれはとても大切だと思います。給料が高いとか保険が充実しているとか、そういうところだけ見るのではなくて。

―今は就職難の時代でもあり、ついつい、「安定した大企業」「正社員」といった、会社の規模や条件に目が行きがちですが……。

  もったいないですよね。規模で選ばなければ会社なんて山ほどありますし、個人でも面白いことをやっている会社がたくさんあります。福利厚生なんて使わなかったりするんだし、給料もどんぐりの背比べです。結局のところ、本当に好きなことがその場所にあり、成長ができる会社なのかどうかであって。……変な言い方ですが、会社はお金をもらって学ばせてもらう、働かせてもらう場所です。会社側としても、「やりたい」「学びたい」というモチベーションの高い人を採用すれば、勝手にどんどん頑張ってくれてスキルアップしてくれるので、どちらにとってもいい話だと思いますよ。

[取材] 高橋秀明、真田明日美 [執筆・構成・写真撮影] 真田明日美

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