お客様の日常を華やかに演出! “助けあい” 精神が育む「不二家」の商品クオリティ
[代表取締役]櫻井 康文(さくらい・やすふみ)
[創業]1910年11月
[本社所在地]東京都文京区大塚2-15-6 オーク音羽ビル
[アクセス]東京メトロ有楽町線 護国寺駅から徒歩6分
1910年11月、横浜市元町にて創業。2017年12月現在では、菓子・アイスクリームなどの製造卸売、洋菓子販売チェーン、喫茶および飲食店事業などを展開する。洋菓子の販売と製造を手がける「不二家」は全国で約900店に。日常のおやつから誕生日祝いのケーキ、ギフトにいたるまでバラエティ豊かな商品構成が老若男女からの支持を集めている。看板商品はイチゴを使ったショートケーキ。
※内容はすべて取材当時のものとなります。
今回のバイトの現場レポートは、マスコットキャラクター・ペコちゃんでおなじみの「不二家」です!
小学生のころ、店の前を通りかかるたびに「 “ペコちゃんのほっぺ” が食べたい!」と母にねだっていた筆者。
「ミルキーの包み紙にペコちゃんが10人いるとラッキー」と噂が流れた日には、同級生と競って探したものです。
大好物のホワイトチョコを使ったケーキで、誕生日を祝ってもらった年もありました。
成長しても、日常生活のそばには不二家の存在が。
最近も「原稿を終えて脳に糖分が足りないから……」という大義名分のもと、仕事帰りにモンブランを購入。
三十路を迎えた今でも、看板商品のショートケーキを前にするとよだれが分泌します(笑)。
そんな不二家のバイト現場に潜入できる、ですって!?
とCareer Groove編集部が向かったのは、クリスマスの華やかな装飾に彩られた店内。
和やかな雰囲気の中で、インタビューと撮影が行われました。
インタビューに応じてくれたのは2人のアルバイトさんです。
大学入学を機に働き始めた松﨑悠里香さんと、資格の勉強をしながらパートしている小島彩果さん。
サンタクロースのコスチュームに身を包んだペコちゃんに負けないほどかわいらしい、かつ頼もしいインタビューをご堪能ください!
先輩から見て盗め!“助けあい” の文化が育てる「不二家」の販売スキル
★「不二家」のバイトはこちら!★――こんにちは! 松﨑さんは主に “販売” 業務を行っているとお聞きしています。簡単に自己紹介をお願いできますか?
松﨑 今日はよろしくお願いします!
わたしは授業が終わってから遅番のシフトに入ることが多いですね。
こちらのお店には大学に入った今年(2017年)の4月からお世話になっていて、主に接客をしています。
――洋菓子を “製造” するパティシエのような専門スタッフが別にいるんですか?
松﨑 専門の製造スタッフがいるわけでなく、製造も販売もできるスタッフが何人かいます。
この店では、販売に慣れてきたころに製造の仕事を始めるんです。
わたしも最近教わり始めたんですけど、製造は不二家歴の長い小島さんの方がお上手なので……。
小島 とんでもないです!
わたしは働き始めて1年5ヵ月くらいなので。
もっと早くキレイに作業できる先輩がいらっしゃいます!
――ご謙遜を! では松﨑さんは販売、小島さんは製造についてお話しいただければと思います。松﨑さん、販売業務ではどのようなことをするんでしょう?
松﨑 接客しながら、お客様の商品選びをお手伝いします。
ショーケースからケーキを取り出して、キレイに箱に詰めてお渡しすることも大切な業務。
アニバーサリーケーキとしてご購入いただく方には、ろうそくの本数やメッセージプレートの内容をおうかがいしています。
――接客・販売するうえで心がけていることを教えてください。
松﨑 常に笑顔でいるようにしています。
あとは……お客様が不快にならないような言葉遣いでしょうか。
入ったばかりのころはお客様に向けた丁寧な言葉に慣れず、店長から注意されることもありました。
――初めてのバイトですか?
松﨑 バイトはしたことあるんですけど、接客は初めてで……。
敬語が全然できなくて、家で練習しました。
全員 えらい(笑)。
――今では立派な戦力ですよね。一人前になるきっかけがあったんですか?
松﨑 入って2ヵ月くらい経ったころに少しだけ余裕が出てきて。
お客様のご質問に、自分で判断して答えられるようになってきたんです。
最初は何か聞かれたらすぐに先輩を頼っていたんですが、お客様の状況をお察しして「こう答えてみたら伝わりやすいかな」と考えられるようになってきました。
――経験値が上がってきたんですね! お客様との印象的なエピソードを教えてください。
松﨑 親子連れのお客様でお子さんの機嫌が悪くなってしまい、店内を走り回っていたことがありました。
おねだりが聞き入れてもらえず、泣き出してしまって……。
お母さんも困っていらっしゃったので、「お誕生日の時に買ってもらおうね」と話しかけたりしていました。
お子さんに受け入れてもらえるような、納得していただけるような言い方を考えて。
――その場に合わせた、臨機応変なご接客ですね!
松﨑 無事にお買い物が済んでよかったです。
あと不二家では、8・18・28日と「8」のつく日にポイントカードへ押すスタンプの数が “5倍” になるんです。
で、そのスタンプをめぐるトラブルがあって……。
小島 「5倍になっていない」とか?
松﨑 そうなんです。私が受けたのは「スタンプが足りない」というご指摘でした。
――そう指摘されて、松﨑さんはどのように対応したんですか?
松﨑 お客様の目の前で実際に計算し、結果をご説明しました。
その際も一方的にお話しするのではなく、お客様にご納得いただけるよう反応を見ながら。
気持ちよくご購入いただけることが、いちばん大切だと思うので。
――なるほど。ちなみに……ろうそくの在庫が切れそうな時に、お客様から「数字ではなく普通のろうそくで、33歳の誕生日祝いをしたい」と言われたら?
松﨑 ろうそくには大小があります。
ですので、「大きいろうそくで10歳、小さいろうそくで1歳を表す方もいらっしゃいます」とご案内します。
そのうえで「大を3本、小を3本でいかがでしょうか?」と提案し、お客様にご判断を委ねます。
――お客様に「ケーキが崩れてるんだけど」と指摘されたら?
松﨑 まず、きちんと謝罪します。
「自分たちが悪い」ということをしっかり受け止めなければなりません。
そのうえでお詫びを申し上げ、新しい商品に交換させていただきます。
お直しができる状態の時は、製造さんにお願いして作業してもらうこともあるんですよ。
――先ほどから間髪入れずに答えられていて、店長から注意を受けていた松﨑さんじゃないみたいですね!
松﨑 ご迷惑をおかけしたにもかかわらず、先輩方は変わらず熱心に指導してくださいました。
対応に困っている時は、求めなくても助け舟を出してくださるような “助けあい” の文化があるんです。
先輩の対応を拝見していると、同じような場面に出くわした時に活かせますので。
助けてもらったら「今度は私が!」と思って、進んでお客様の前に出ようという気持ちになります。
そんな流れが “あうんの呼吸” でできるような環境なんですよね。
――心強い環境が広がっているんですね!
★「不二家」のバイトをさがす★
生クリームは温度が命! 「不二家」製造スタッフがこだわる商品の質
――次は “製造” についてお聞きできればと思います。小島さん、自己紹介をお願いします!
小島 はい、よろしくお願いいたします。
わたしは今、資格の勉強をしながら早番のパートとして働いています。
勤務の時間帯は9:30~18:00が多いですね。
こちらの店で働くようになって、1年5ヵ月くらい経ちました。
接客と販売はもちろん、製造業務も担当しています。
――「不二家」の製造ってどんなことをするんですか?
小島 看板商品のショートケーキをはじめ、フルーツタルトなどをつくっています。
――バイトの製造さんは、何種類くらいの商品に関わっているんですか?
小島 ホールのショートケーキはSS・S・Mサイズがあって……。
そちらは無くなり次第すぐにつくっていますね。
タルトや、プリンが載っているサンデーも常に切らさないようにしています。
――ケーキでは台(スポンジ)の焼成もするんですか?
小島 いえ、まず工場から届いたスポンジをショートケーキ用にスライスするところから始めます。
シロップを垂らし、スポンジの面に生クリームを均等に塗りつけていって。
その上から絞り袋を使ってデコレーションしていくんですが……これがなかなか難しいんですよね。
――ちなみに、小島さんは普段からお菓子づくりをされるんでしょうか?
小島 お菓子は好きなので、よく購入するんですけどつくるのはあまり……。
休みの日につくることもありますが、普段から親しんでいるわけではないですね。
ですので最初は本当に苦労しました。
――どんな点に苦労したんですか?
小島 最初はクリームをきれいに塗ることが全然できなくて。
ホールのショートケーキを1個つくるのに、1時間もかかっていたんです。
デコレーションを絞っているうちにクリームがどんどんパサパサになって……。
――パサパサ?
小島 生クリームって常温で置いていると状態が悪くなってしまうんですよね。
使わない時は冷蔵庫にしまって、使う時にまた出して……を徹底しないといけないくらい、デリケート。
だから絞り袋を握っている時間をできるだけ短く、素早く絞れるように心がけていました。
でもなかなかキレイに絞れなくて。
――握っている時間が長いと、どうしてよくないんですか?
小島 手から体温が絞り袋を通じて生クリームに移ると、溶ける……ではないんですけど。
状態が悪くなっちゃうんですよね。
だから常に冷やしてないとダメなんです。
――現在は上達されていらっしゃいますよね。どうやってうまくなっていったんでしょう?
小島 生クリームを絞る作業を毎日続けるうちに、だんだんと上達していきました。
自転車に乗れるようになるのと一緒で、突然「あ、できた!」って瞬間があって。
そこからは先輩ほどではないですが、最初に比べたらうまく作れるようになったと思います。
店長から「上手になったね!」とおっしゃっていただくのがうれしくて。
今でも扱いに苦労することはありますが、褒められるとうれしいのでがんばれます。
――製造業務に携わっていて、やりがいを感じる瞬間は?
小島 自分が製造した商品を目の前でご購入いただいたお客様がいらっしゃいました。
何日か経って、「すごくおいしかったのでまた買いに来ました」とおっしゃっていただいて。
うれしい気持ちになりますね。
――では反対に、お客様から商品に対して厳しいご指摘をいただいたらどうされますか?
小島 ショーケースに並んでいる新しい商品をお渡しできるなら交換します。
できない場合は、販売スタッフに「お直しいたしますので、少々お待ちくださいませ」とお願いしてもらって。
商品にもよりますが、10分ほどでお渡しできるかと思います。
――お客様の体に入るものですし、ギフト用でしたらさらに気を遣いますよね。そうした “ヒヤリ・ハット” を防ぐために、何か対策していることはありますか?
小島 スタッフ全員でミスを無くそうと、お互いの動きを意識しながら作業するようにしています。
片付けの時には器具をしっかり洗っているか、漂白剤に浸けたあとにキレイに流しているか。
衛生面には特にこだわっています。
またお渡し前の誕生日ケーキにプレートを載せ忘れてしまわないよう、商品をお互いチェックしあって。
気づいたスタッフがすぐ指摘してくれるんですよね。
とにかく全員でミスを無くそうという意識が働いていると思います。
――製造業務でも “助けあい” の精神が働いているんですね!
★「不二家」のバイトはこちら!★
優しい先輩スタッフが「不二家」でお待ちしています
――ちなみに、お2人が不二家の商品でオススメするとしたら?
松﨑 秋の期間限定商品で、上に大学イモが載ったモンブランがあったんです。
本当においしくて、家族にも買って帰って布教活動しました(笑)!
母も絶賛していて。
小島 不二家はショートケーキが一番人気なので、もちろんオススメです。
でもそれ以外でご紹介するとしたら、マロンモンブランですね。
味がそこまでしつこくなくてあっさりしていますし、お求めやすい価格だと思います。
――ありがとうございます、お2人の接客スタイルを察しました(笑)。ちなみにお見受けしたところ、こちらの店のスタッフは女性が多いのでしょうか?
松﨑 今(2017年12月)のところ、男性のスタッフはいません。
小島 主婦の方と学生さんが多いですね。18歳から50代くらいまでの方が働いています。
――全員に共通するような特徴はありますか? 性格や雰囲気とか。
松﨑 「新人はここでつまずく」という場面を予測して、どなたも事前にアドバイスをくださるんです。
「みんなここでミスすることが多いから気をつけた方がいいよ」という言葉に救われました。
女性が多い職場ですが、不思議と衝突はないんですよね。
全員 (笑)。
小島 同僚のスタッフには穏やかな方が多いので、いつも職場が明るいです。
自分の意見を周りに伝えるとしっかり聞き入れて対応してくださいます。
とても働きやすい職場で、シフトに入るのが楽しみです!
――新しく入ってきたスタッフに、先輩としてどのように指導しますか?
松﨑 ちょうど新しく、1週間前くらいに入った新人の方がいるんです。
まだ不安な時期だと思うんですけど、彼女にはとにかく安心してお店に出てもらいたくて。
というのも、私が最初なかなか仕事に慣れなかった時に先輩方から勇気づけてもらったんですよね。
「自分たちも入りたての時は全然できなかったから大丈夫だよ」って。
だから私も同じように接して、不安を取り除きながら丁寧にトレーニングできたらと思っています。
小島 入ってすぐだと覚えることがいっぱいで、うまく対応できないと焦ってしまいますよね。
だから「急がなくて大丈夫だよ」と声をかけてフォローするようにしています。
あとは「こうするともうちょっと早く作業できるよ」といったアドバイスをしてみたり。
なるべく気にかけてあげたいですね。
――安心してシフトに入れそうですね! では最後に。松﨑さんは販売、小島さんは製造のお立場から不二家で働こうと考えている人の背中を押すようなメッセージをお願いします。
松﨑 社会人として必要なコミュニケーション力を、総合的に身につける環境が整っています。
大学に通っていると、バイトをしている人としていない人の差を感じるんですよね。
常識を持ち合わせていて、うまく敬語を使える人がアルバイターさんには多い気がしていて。
コミュニケーションの取り方も自然なんです。
そう気づけたのも、不二家でバイトをしたからだと思います。
小島 製造の経験が全くない方でも、周りのスタッフが一から丁寧に教えます。
シフトに入るたびに上達が実感できて、楽しい気持ちで働くことができるのでオススメですよ!
――ありがとうございました!
★「不二家」のバイトはこちら!★
取材・文・撮影 / 岡山朋代