食品ロス、農業の衰退、世界の環境問題まで……すべて「食農教育」が救う!
- 上岡 美保(かみおか みほ)
- 東京農業大学 国際食料情報学部 国際食農科学科 教授
東京農業大学「食と農」の博物館 副館長
1973年生まれ、香川県出身。父の影響で農業、地域活性化について興味を持ち、東京農業大学に入学。2001年3月 農学研究科農業経済学専攻博士後期課程を修了。博士(農業経済学)。2016年4月、食料環境経済学科教授に就任。2017年4月より新設された国際食農科学科食農教育研究室に配属。世代ごとの食料消費構造の変化、食農教育(食育)の効果、地産地消の在り方など、“食”と“農”に関する調査・研究を重ねている。
主な著書・共著に『食生活と食育 -農と環境へのアプローチ-』(単著/農林統計出版)『スーパーの生鮮食品がお店に並ぶまで図鑑』(共著/自由国民社)など。
<東京農業大学>
創立/1891年
所在地/東京都世田谷区桜丘1-1-1
最寄り駅/経堂または千歳船橋
※本文内の対象者の役職はすべて取材当初のものとなります。
切り離せない食と農。 “生きること” を支える「食農教育」を学ぶ意義
―上岡先生のご専門分野は農業経済学、とりわけ「食育」や人の食生活・消費行動に関する研究が中心とうかがっています。そもそも「食育」とはどのようなものか、教えていただけますでしょうか。
「食育」という言葉は明治時代から存在していましたが、身近な言葉として認識されるようになったのは、2005年6月に食育基本法が成立されて以降ではないかと思います。
食育の目的として、食育基本法の前文には以下のように書かれています。
●生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの
●さまざまな経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること
食は「人を良くする」と書きますよね。食生活が充実していると、日々の生活もイキイキと過ごすことができます。そのためには、まずは、バランスの良い食事で健康であることが大切ですよね。
しかし、便利な食生活を送っているはずの私たちですが、実は、栄養が偏っていたり、塩分を多く摂り過ぎていたり、食事エネルギーが不足していたり、生活習慣病になったりと多くの人が栄養や健康の問題を抱えています。
食育を推進することで、食に関する正しい知識を得て、健全な食生活をしていこう、というのが目的です。
―「食育」と聞くと、学問というより生活習慣の指針、というイメージがあります。学問としての食育は、どのような位置づけなのでしょう?
もちろん、生活習慣や食生活の指針としての要素もあります。ですが、我々は「食育」にプラス、農業教育を含めた「食農教育」として捉えています。 “食” と “農業” は切り離して考えることができないものだからです。
それは単に「バランスのいい食生活を送りましょう」「農業体験をしてみましょう」……ということだけにとどまりません。
というのも、食生活は豊かになりましたが、フードシステムの深化と共に、私たちは栄養や健康以外にもさまざまな食をめぐる課題を抱えています。
たとえば、食と農(消費者と生産者)の距離の乖離、地域の食文化の継承困難、食品ロス(廃棄)の増加、食品安全や食料安全保障への懸念、食料自給率の低下、里山の生物多様性の喪失、地球環境への負荷、飢餓と飽食の併存など、個人のみならず、地域、日本、世界レベルにいたるまで、かつその範囲は、食料問題、農業問題、環境問題と多岐にわたっています。
これらの問題をもう少し詳しくみてみますと、たとえば、世界には飢餓と飽食の国が併存しています。もちろん、日本は飽食の国ということになりますが、飽食の国である日本では今、食品ロスが一つの大きな問題になっています。
食品ロスは、資源を有効に活用しないという点で “モッタイナイ” だけでなく、食料の多くを海外に依存していながら、いっぽうで、食品を無駄にするといった矛盾が生じています。しかも、世界には8億人、実に人口の9人に1人が飢餓で苦しんでいるといわれているにも関わらず、です。
また、特に私たちの家庭から排出されている食品ロスは、そのほとんどが可燃ゴミとして処理されています。ですから、食品ロスが増えるということは、処理される際のCO2の排出によって、地球環境に負荷を与えていることにもなります。
私たち国民の豊かな食生活は、「洋風化」や「外部化」なども手伝って、前述のようにその多くを海外からの輸入農産物に依存しているわけですが、食料輸入の増加によって、日本の農業生産にも大きく影響し、食料自給率低下の問題にもつながっています。
さらに、輸送に多くのエネルギーを使用するという点で、地球環境にも負荷を与えていることになるのです。
また、家庭という単位においても、共働き世帯、核家族、単身世帯の増加など、家族の在り方やライフスタイルが多様化したことによって、孤食や個食といった食習慣の問題が生まれています。
特に孤食によって、家族のコミュニケーションの場としての食卓の役割が低下していることを意味しており、もしかすると子どもなどの心の問題にも影響してくるかもしれません。
さらに食生活と農業の関わりのなかでもまた、たくさんの課題が存在しています。
現在、日本の農業はあらゆる意味で厳しい状況にあるといわざるを得ません。もし日本の農業が衰退してしまえば、国内での農業生産ができなくなります。
また、地域のコミュニティは農業・農村を中心に形成されてきました。たとえば、地域で受け継がれてきた祭などの伝統行事は、豊年祭や収穫祭など農業に深く関係しているものが多くあります。
農業が衰退すれば、地域のコミュニティの喪失だけでなく、こうした伝統行事の際に受け継がれてきた伝統食や郷土食も同時に失われてしまう可能性があります。
また、農業・農村には食料生産の機能以外にも水田による貯水機能、洪水防止機能、景観形成機能、自然環境保全機能、国土保全機能、文化継承機能、保健休養機能などの、さまざまな多面的な機能が存在しています。
ですから、農業が失われてしまうということは、こうした多くの機能が私たちに与えてくれる効用が失われることを意味しており、その損失は大変、大きいものになります。
加えて、農業を営む場所である「里山」そのものが失われることはそこに生きてきた小動物達の棲む場所も奪う、つまり生物多様性を喪失することになります。
食農教育ということではないですが、現在は、FAO(国連食糧農業機関)の『世界農業遺産』といって、次世代へ継承すべき昔ながらの伝統農法や生物多様性を守る農法を認定する制度があります。
先進国では、日本が初めてで、2011年に佐渡と能登地域が認定されました。佐渡は「トキと共生する佐渡の里山」が、能登は「能登の里海・里山」がその認定の理由となっています。このことからも里山の重要性が理解できますよね。
今では、佐渡、能登以外にも、「静岡の茶草場農法」、「阿蘇の草原の維持と持続的農業」等、8つの地域が認定されていて、農業と環境、人々の生活の営みの重要性が示されています。
……と、このように、食育は栄養教育など食の教育でもあり、農業教育でもあり、環境教育でもあるんですね。
個人から家庭、日本、世界にアプローチして、今起きている問題を顕在化し、解決してくために学ぶのが「食農教育」の学問としての意義といえると思います。
食育、食農教育は人を育む教育、 “生きることを支える” 学問なのです。
―ひとくちに「食育」といっても、個人から地球レベルまでの問題が絡むので、幅広い視点が求められる学問なのですね。
そうなんです。栄養学や調理学、家政学の知識はもちろん、「医食同源」から来る医薬の知識、農学、経済学、社会学、文化・歴史学、教育学などなど……非常にたくさんの学問や、知識のアプローチが必要なんですよ。
ですが、こうしたアプローチ全てを網羅的に包括的に実施するのは非常に困難だと思います。また、地域によっても事情がさまざまに異なる点で、統一的な教育手法がないことも食農教育の難しい点ではないかと思います。
ですから、各地域に応じた、しかるべき食農教育の実践が必要不可欠であると強く感じています。
―食育基本法ができて12年が経ちました。何か変化は感じますか?
「食育とは何か?」から始まって、やっと次のステージに上がりつつある……という感じですね。
教育なので、やっぱりすぐに効果は出るものではないので、やることもまだまだたくさんあります。しかも、それを継続していかなければならない。
さらに世代や地域ごとの違いなど、横断面的にも時系列的にも視点を広く持っておかないといけない。……そういったことが、ようやく浸透しつつあるというところではないでしょうか。
次は、消費者はもちろんのこと、地域のさまざまな主体、それぞれの立場の人が、連携して問題に立ち向かうことを考える時だと思っています。
難しいことではありません。それぞれが専門性を活かしてできることを、ちょっとずつやればいいと思うんです。
私のような教育者であれば学生たちにその大切さを伝えるとか、企業であればIRやCSR活動としても可能です。実際にそういった企業も増えているようですね。とてもいい流れだと思います。
すぐに結果は出ないかもしれませんが、無理をしない範囲でそれぞれがやれることを継続してやっていけば、食と農業、伝統文化を守っていくことにつながると思います。
―具体的に私たちができること、意識すべきことは何でしょうか。
“Think Globally, Act Locally”。常にグローバルな視点をもって、足元から行動する、地域を軸とした行動をすることです。
私たちはたまたま飽食の時代に生まれました。先ほども言いましたが、今でも飢餓や栄養不足に苦しんでいる国や人々がいます。
そうした状況も意識しながら、今日は食べ残しをしないようにする、食材を余らせないようにする……、また、「自分が食べているものが、どんなところからどのように運ばれてきたのか」「自分が食品ロスを出すことによって、地球環境にも負荷を与えているかもしれない」……といったように、今、食と農をめぐって抱えているグローバルな問題を時には思い出し、日々の行動を見直していきたいですね。
社会科学だからこそできる食と農の研究
―上岡先生が、食と農の研究に打ち込まれるきっかけとなった出来事はありますか?
きっかけですが、ふたつありまして。私の院生時代までさかのぼります。
……というのもちょうど研究することに悩んでいた時期でもあったんですね。
「自分はいったい、何のために研究しているんだろう」って。
ひとつは、博士論文としてのインパクトです。当時は研究として、「日本の食料消費構造がどのような要因で、どのように変化していくのか」を、国の公表する『家計調査』『国民栄養調査(当時)』や『食料需給表』のデータをもとに解析をしていました。
主に日本の平均的な食生活変化やその要因について中心に研究していました。
もちろん、一般的な分析方法を援用して、想定内の結果は得られたりしましたが、なかなか独自の新たな知見が見いだせずにいました。
日々悩んでいるとき、ふと思ったんです。
一般的な手法でも視点を変えることで、新たな見解が見いだせるのではないかと。
その後、日本の食料消費構造を世代や地域に着目して分析をしてみることで、当たり前の結果といえばそうなのですが、論文としてはおもしろい結果を得ることができました
なかでも、若い人からお年寄りまでの世代の食料消費行動を、同時に時系列的かつ横断面的に解析できないかということで、「ひとつの世代が歳を経るにつれて、どう食生活が変化していくか、かつ異世代の動きを同時に」分析する方法を思いつきました。
その結果、団塊の世代を境に、それより後に生まれた若い世代は「(歳を経るにつれて)洋風的な食生活」を強めていき、逆にそれより前のお年寄りの世代は「日本の伝統的な要素」を強めていく、ということが分かったんです。
この結果を見て、当たり前のことですが「一言で “日本の食生活の変化” といっても、世代によってまったく違う」という食生活の問題の奥深さに触れて、食のことをもっと詳しく研究してみたくなりました。
と同時に、物事を幅広い視点で見ることの大切さを学びました。
もうひとつは、自分の研究の意義についてです。
自分の研究成果が何のために、誰のために役立てられるのだろうかと。
でもそうして悩んでいるうち、さきほどの解析結果が出て。各世代の食生活の変化の仕方が大きく異なっている状況を見たとき、将来の食生活はどうなっていくんだろうと。
もしかすると、「自分の研究をもし役立てるとしたら、それは次世代の食の教育の大切さを訴えることなのでは」と思ったんです。
ちょうどそのころは、大量生産、大量消費の時代、飽食の時代を経て、さきほど申し上げてきた栄養・健康の問題や食品安全への懸念、食料自給率の低下や地球温暖化といった「食と農」に関わる問題が徐々に浮かび上がってきた時期でした。
その顕在化しつつある問題を解決できるのは、実は食の教育なのではないかと思い至ったんです。
そして、もちろん、食の教育の為には、農業への理解が必須なわけで、そういう意味でも農の教育は欠かすことができません。
さらにいえば、環境教育も含めた食農教育が必要ということです。
―当時はまだ「食育」という言葉は一般化されていませんでしたし、学問としてやっていくということに関して、あまり理解を得られなかったのでは。
そうかもしれませんね。
「社会科学で食育の研究って何をやるの?」「学問になるの?」などと言われたこともあったかもしれません。
でも今は、そう言った方も皆、理解してくれているのではないかと思います。それだけ食べるということの重要性だけでなく、それを取り巻く諸問題を解決する重要性が認知されているからだと思います。
今まで「食の教育」というのは栄養学や家政学、教育学など、食や教育の分野の専門家の先生が中心にやってこられていたと思います。しかしその食育がもたらす「さまざま効果」、特に農業問題や環境問題、消費者の食品選択といった社会科学との関わりまではあまり触れられてはいませんでした。
そしてそれは、農業経済学の分野にいる自分だからこそできるのではないかと。
有効な食育によって、農業問題や食料問題、環境問題を解決に導くことができる。それを証明したかったんです。
とはいえ、それはとても難しい命題ですが……これからもさまざまな社会科学の視点で、挑んでいきたいですね。
食と農、人と人をつなげ、盛り上げる “コーディネーター” の育成
―上岡先生の研究室では、どんなことをしているのですか?
今は、ここ3年ほど、毎週金曜日、東京駅前の丸ビル・新丸ビルをつなぐ行幸地下通路にて開催されている「行幸マルシェ」の皆さんにご指導いただきながら、販売実習をさせていただいたり、消費者調査などを行ったりしています。
マルシェとは、生産者が農産物を “直接” 売ること、つまり直売所のような感じですね。
マルシェでは生産者の方が来て販売することが多いので、生産者がこだわって育てた農産物の良さを、消費者に直接伝えられます。農産物の生産方法だったり、食べ方だったり。
消費者もマルシェで学ぶことができるんです。これも食育の一つの形だと思います。
そこに学生が関わることで、生産者の方の気持ちや考え方や、消費者がなにを求めているのか、どうすれば消費者に農産物の良さを理解してもらえるか、生産者と消費者を結びつけるにはどうすれば良いのかといったことを考える学びの場となっています。
食料・農業・環境の問題解決には、「生産者と消費者をつなぐ」ことも重要な要素です。
―こちらの学生の主な進路先は、どんなところでしょうか。
卒業した学生は、経済分野なので証券や銀行、信用金庫といった就職先も多いですが、なかには
「生協に行って消費者と関わる仕事がしたい」
「農業団体に入って、地域の活性化につながる農業を考えたい」
「公務員になって地域を活性化したい」
「旅行業界に入って、観光業から農業・農村を盛り上げたい」
「高校教員になって次世代の食農教育に関わりたい」
といった学生もいますね。
マルシェでの実習や調査の経験が就職先に影響している学生も多いですよ。
―今年(2017年)から新設された、国際食農科学科について教えてください。
農業生産技術や食品の機能性分析、調理、加工などの自然科学分野の学びと、社会学や歴史民俗学、経済・経営学、そして販売・流通・マーケティングなどの社会科学分野のまで、食農教育に関わるすべてのことをまとめて学べる学科です。
これらの幅広い知識と視点から、地域をどう盛り上げていくか、どう他分野と連携させていくかを考えられる “コーディネーター” を育成したいと思っています。
目指せる資格は、たとえば6次産業プロデューサー。「食Pro.」と呼ばれる人たちですね。あとは、フードスペシャリスト。どちらも幅広い知識と視点が求められる職業です。
コーディネーターはいろいろな立場、場所で活躍できる、これからまさに必要とされる人材。生産者、消費者、農業団体など、地域のさまざまな人たちを主体的につないでいける人に成長してほしいなと思っています。
―上岡先生から見て、東京農業大学の生徒の印象はどんなものでしょう?
手前味噌ですが、本当に素朴で素直で、真面目で純粋な学生がとても多いな~って思っています。何事も一生懸命取り組もう、という意欲がありますね。
近隣の居酒屋さんやレストランに食事に行ったりすると、お店の方から
「農大の学生さんをアルバイトに雇ったことがあるけど、農大の学生さんはすごく良いですね。明るくて活発で、よく気が利きます。同業者の方と話したときもそんな話題が出ましたよ。」
などと言ってくださることがよくあります。
そういう時は、自分の学生のことでなくてもとても嬉しく思います。やはり、人間性の良さというのは、社会に出ても一番大切なことだと思いますし。
教員になって16年目ですが、その少ない期間でも得られた人脈を活かしながら、学生にももっともっとさまざまな経験をさせてあげたいですね。
自分のためでなく、 “お返し” をするための研究を続けたい
―研究者として、一番のやりがいはなんですか?
現在、食育に関する国の政策に少しでも関わらせていただく機会があるので、やっぱり自分の研究とのつながりですとか、これまでやってきたことの一つの成果として、研究者としての喜びになっています。とてもありがたいことですね。
―上岡先生が今目指していることや、将来の夢はなんですか?
今までは「研究で自分の業績をつくっていく」ということが中心だったように思います。けれどこれからは、いろいろな地域のさまざまな社会的な課題を取り上げて地域の政策に必要な基礎資料になるデータを蓄積することや、課題解決につながるような資料を提供するなど、現場に “お返し” ができるような研究をやっていきたいなと思っています。
それももちろん、簡単なことではないですが、地域に根ざした研究ができたらいいなと思っています。
夢としては、大学での研究室活動やたくさんの経験によって、地域で活躍できる人材に学生たちを育てることですね。
さらに壮大な夢としては、将来、日本の農業がますます発展して、生産者も消費者も双方が健康でイキイキと生活できるような社会になったら嬉しいです。
―ありがとうございます。それでは最後に、学生のみなさんへメッセージをお願いします!
先ほども申し上げましたが、私は食育について取り組むと決めた時、「食育って学問なの?」「どうやって研究するの?」などと、からかわれたようなこともありました。
けれども、やっぱり「これをやってみたい」と思うことができた時は、やってみるべきだと思うのです。一方面だけでなく、さまざまなアプローチでチャレンジしてみるといいんじゃないかなと。いつか夢は叶うと信じてがんばってほしいですね。
そのためには、学生のうちに、学生でしかできないたくさんのものを見て、いろいろな経験をして、たくさん考えて、悩んでほしいと思います。それから、教員とも密に関わることでしょうか。
あと、大学に進学したのなら、大学での勉強はおろそかにしないでほしいということですね(笑)。せっかく行きたい大学に行ったのに、アルバイト生活での社会勉強だけでは “モッタイナイ” と思います。
やはり大学の勉強をやってこそ、経験がプラスアルファになると思います。
大学の授業をサボることの機会費用とか、自分の行動と学費の費用対効果を考えて欲しいですね(笑)。
東京農業大学では、初代学長の横井時敬(よこい ときよし)先生の教えとして、「実学主義」や「人物を畑に還す」という言葉があります。机上の勉強が大切なことはもちろんですが、実践することがまた重要で、この2つが揃ってはじめて学問としても有効になるということでしょうか。
そして、こうして本学で学んだ学生を畑、つまり地域に還す。地域で活躍できる人材に育てたい。
東京農業大学は、こうした教え、考えの下で、教育・研究を行っています。
学生の本分は勉強ですから、まず与えられたことに対して、真摯に取り組むことが、社会に出てからの能力や回りの方からの信用につながると思います。
自分を信じて将来の夢に向かってがんばって下さい。
[取材執筆・構成・インタビュー写真撮影]
真田明日美