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スーパーマーケットのアルバイト話。

  • えどもん さん
  • 広島県東広島市
  • 21歳~25歳
  • 女性
  • 職歴:弁当・惣菜販売店スタッフ 3年2ヶ月

仕事内容

私のしていたアルバイトは、何ら特別なものではありません。こう言っては、店長に悪いのかもしれませんが。
どこにでもある平凡なスーパーマーケット、そのレジ打ち要員として私は採用されました。レジ打ち仕事というか、本当はフロア仕事全般です。
およそ3日に1回の頻度で、私は店のレジに立っていたりしました。「いたり」というのは、先程言ったようにレジ仕事のみならずフロア仕事にも駆り出されていたためです。要するに、陳列棚の整理だったり、掃除だったりです。店員になった事のある人なら分かるでしょう。レジ打ちばかりが自分の仕事ではないんだと。
後者2つの仕事ならともかく、1対1で他人と面と向かって接客をしなければならない。それが恥ずかしいし、年上を相手にするのが怖かったり、年下を相手にするのが苦手だったりで、アルバイトを始めるのはあまり気が進みませんでした。始めた理由は単に小遣い稼ぎ、そのスーパーマーケットを選んだのは近所だから。ただ、それだけでした。元来面倒臭がりなのです。面倒臭がりで、臆病なのです。
アルバイトを始めた当初は緊張しっぱなしで、手も震えたりしながら接客していました。
客層は高齢者が多いため、にこやかに笑って「頑張って」と応援してくれたお客さんもいました。
私の緊張しっぱなしな態度なんかどうでもいいとばかりに、堂々とされるお客さんもいました。
ガムをくちゃくちゃさせながらレジに並ぶお客さんもいました。
「今日は寒いねえ」と語りかけてくれるお客さんもいました。
順番抜かしをしてしまう人、挨拶を返してくれる人、入れ墨をした人、世間話を持ちかけてくれる人。
まあ何が言いたいのかと言うと、わりと皆さん気が抜けていらっしゃるのです。
遊びに行った帰り、学校の帰り、仕事の帰り、あるいはこれからどこかへ向かう最中。皆さん、色々な表情をしていらっしゃる。色んなことを考えていらっしゃる。
レジ仕事は速さが売り(これは自称ですが)ですし、あまり顔をじろじろ見るのも不躾です。ですから、ほんの数分間。その人の在り様を観察する。これが意外と面白いのです。
レジ仕事って面倒臭そうと感じていた過去の自分が嘘のように、今はレジ仕事が楽しくて仕方がない。
人間観察が趣味の方、レジ仕事も悪くないですよ。
そして人数不足だったりするところは、すぐ面接通ったりするものですよ。

お客さん

うちの母いわく、今どきの子供は冷めているそうな。
「ははあ、これは何か貶してくるパターンか?」と身構えていると、むしろ母は自分たちの世代について語り始めました。
「自分たちの世代はバブルを体験している(私はいわゆる、ゆとり世代と呼ばれる人間)。あの頃の人間は、ちょっと『おかしな』ドラマを見て育っているから、恋愛に対する思いが今の子供より濃いんだよ」

母がこの話をするに至る前、私は彼女に別の話を持ちかけていました。
それは、アルバイト先に厄介なお客さんがいるという内容です。
勤めているスーパーマーケットには、派遣社員の可愛らしい女の子がいます。これまた母の評価では「男ウケするタイプ」だそうで。どこかのんびりした空気を持った彼女は、確かに男性からの評価がありそうな雰囲気を持っていました。
厄介なお客さんというのは、そんな彼女に言い寄る男性の事です。
豪胆とはとても言えない彼女は、毎日手渡される手紙をつき返せず、その数は日々募るばかり。私が気づけたのは、実に半年も経った日の事でした。何で早くに言ってくれなかったんだろうと、ちょっと悔しい思いがあります。

そこから話が冒頭に戻ります。
その男性が、母と同世代……というかもう1世代上の方なのです。手紙を手渡す姿も後々確認しました。白髪のおじさんでした。中には実名、住所、携帯電話の番号まで書いて渡す方も。
ええ、そうです。複数の御年配の方から彼女は手紙を押しつけられていたのです。
子供もいる、妻もいる、けれども貴方も好きだと綴られた手紙もあって、ぞっとしました。
まだ問題は解決していません。とりあえず、彼女が内々で酷く嫌悪しているようなので、何とか力になってあげたいとは思います。

意外とそんなお客さんもいるんだよ、信じたくない話だけれども。
そんな体験談でした。

楽しかった事、やりがい

「見切り商品にはもう愛情がないんですか」

ある日、スーパーマーケットに対する意見に、そんな記述を発見しました。
「自社製品を我が子のように慈しむ」。
そもそもスーパーマーケットですから、しかも私は端役のアルバイト店員ですから、あんまりそういった感情はありませんでした。棚に見栄えよく陳列する、消費期限や賞味期限を見て、奥から品入れ、品出しをする事くらいは当たり前の事です。
見切り商品というのは割引された商品で、うちには見切り商品用の籠が用意されています。いつもぐちゃぐちゃで、それはそれで「宝物探し感があるような、ないような」と一瞥しては、他の棚の整理をしたり、床掃除をしていました。
ところが愛情がないと言われ、ハッとしました。これは正さなければならない事だったのだと。
アルバイトの勤務時間は短く(うちでは5時間程度です)、やる事はしこたま残されています。夕方から閉店までをほぼアルバイトでやり繰りしているので、忙しい時は本当に忙しかったりします。
ですから、お客さんのコメントを見て少しの間は対処が取れずにいました。そのまま数日が経っても、見切り商品籠は散乱したままでした。
そもそもこの意見は、ある企画の応募用紙の1番下に用意されたコメント欄に書かれたものでした。枚数を数えるのはアルバイトの役目らしいので、数えている途中で見つけたのです。
どうやら店長やマネージャーたちはコメント欄が用意されているにもかかわらず、目を通していないようで、直される日はなかなか来ませんでした。
ならばと、5時間を有効活用する行動計画を練り、行動に移しました。種類が多いわ、並べにくい形だわで悩まされたりもしましたが、それらしく整頓する事ができました。
結局、お客さんはあんまりきっちり直してくれないから、ちょっと雑っぽくなってしまうのは当然です。そういうのを直すのも、私の仕事です。
綺麗にしてみたら、少しお年を召した女性が見切り商品籠を見つけて足を止め、色々な商品を手に取って吟味していらっしゃるのを見かけました。そこで、嬉しいと感じている自分を見つけました。見やすいだろうか、もっと何かいい並べ方があったんじゃないか。色々と考えました。
たぶん、そういう思いを巡らす瞬間が「やりがい」を本当に感じた時なんだと思います。

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