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運は自分の気持ちと行動でつくるもの
―物事をポジティブにとらえれば、ラッキーの連鎖が起こる―

GMOリサーチ株式会社 細川慎一
細川慎一(ほそかわ  しんいち)
GMOリサーチ株式会社 代表取締役社長

香川県生まれ。滋賀大学、米国サンダーバード国際経営大学院(MBA)卒業。外務省嘱託外交官として、在エチオピア日本国大使館にて社会人をスタート、その後、株式会社ケンウッド(のちに経営統合し、株式会社JVCケンウッドとなる)にて商品企画、海外営業、米国販売会社立ち上げ等を担当し、KPMG コンサルティング(現・プライスウォーターハウスクーパース株式会社)にて、各種のグローバルCRM プロジェクトをマネジメント。 2005 年1 月にGMO グループに入社後、新規事業開発室長、取締役事業本部長を経て、2006 年4 月より現職。

アジアで加速するインターネットリサーチの市場規模

―GMOリサーチの事業内容について教えてください。

  我々は、マーケティングリサーチの方法のひとつである、インターネットリサーチ事業を主軸として事業を展開しています。従来のインターネットリサーチは、調査会社ごとにアンケート画面を作成したり、集計・分析をしたりしなければならず、非効率な部分が多かったんですね。そこに、我々の提供するプラットフォームを導入していただくことで、アンケート作成・実施、回答の集計・分析が共通化できるので、効率的な調査が可能になるというわけです。そのプラットフォームサービスをアジア全域で提供しています。

―中国をはじめとするアジアではまだインターネットリサーチの普及率が低いと言われています。それはなぜでしょうか?

  まず、マーケティングリサーチという観点からすると、日本はアメリカやヨーロッパに比べてまだまだ市場規模が小さいんです。ただし、その中のインターネットリサーチ市場は、日本にはいくつもの調査会社があるため、非常に競争が激しかったんですね。競争に勝つには、コストを下げていく必要がある。だから、世界から見ても、インターネットリサーチのサンプル(標本)単価は、おそらく日本が一番安いんですよ。でも、中国やほかのアジアの国々は、人件費が安いんですよね。つまり、インターネットリサーチよりも人を使ったほうが安くできてしまっていたんです。ところが、近年、人件費はどんどん上がってきている。そこに、低コストで提供できる我々のサービスが参入していくことで、価格・効率の両面でメリットが出せますし、PCのインターネット普及率が低いアジアの国でも、最近はスマートフォンの普及率が急速に上がっているので、今後、アジアのインターネットリサーチのシェアは急速に伸びて行くと思います。

学生時代から海外に興味を持ち続け、やがて外交官に

GMOリサーチ細川社長

―細川さんの経歴を拝見して、昔から海外にご興味があったのかな? と思ったのですが、学生時代はどんなことに興味を持たれていましたか?

  僕は香川県出身なのですが、学生のころは周りに外国人なんてほとんどいなかったんですよ。そこに、文部省(現・文部科学省)から外国人の英語の先生が派遣されてきて。その先生の考え方などに非常に興味を持ったんです。英語は話せなかったんですけど、一生懸命会話をしようとしていた記憶があります。昔から、人と違うことをしたいという気持ちがベースにあって、そんな想いから、外国人の先生とコミュニケーションを取ろうとしたんだと思いますけどね。

―海外に興味を持たれたのは、その先生の存在が大きかったんですか?

  そのころから海外への興味があったのは事実なんですが、大学時代に交換留学制度を使って、1年間海外に住んだことがあるんです。そこで、海外のことをもっと知ってみたいと思ったことが大きなきっかけかもしれないですね。

  大学生のときは、ガソリンスタンドや家庭教師のアルバイトをしてお金を貯めて、海外旅行もしました。アメリカやタイ、南米にも行きましたね。大学生って、時間に余裕があるじゃないですか。だから、目的を持ってお金を貯めて、それを海外での経験に変えていたという感じです。夢や目標を持って働くのと、なんとなくお金がほしいと思って働くのでは、全然違いますからね。

―目標を持ったほうが、仕事のやりがいが持てますもんね。就職活動はどんなふうに?

  就職に関しても、やっぱり周りとは同じ就職の仕方をしたくなかったので、大学院で文化人類学を学ぼうと思っていました。当時、僕は国連職員を目指していたんですが、直接国連に応募して職員になるという道はなかなか難しく、一度、外交官などを経験したあとに入るのが近道と言われていたんです。それで、嘱託プログラムという今でいうインターンシップのようなものを利用して、外交官として海外に行くことにしました。大学院に行くためのお金を貯めたいので、一番給与の高い国にしてほしかったんですけど、それは、つまり一番危険な国ということになるんですよね。それがエチオピアで、大学卒業後は2年間、エチオピアで働いていました。

―エチオピアで、実際に危険を感じたことはありましたか?

  着いたその日に、防弾チョッキを渡されたんです。それには驚きました。あとは、その日の夜に食べたカルボナーラにあたってしまって、ホテルで一晩気を失っていたんです。次の日に、ドアを叩く音で目が覚めて…。生卵は危ないですよ。カルボナーラの卵は混ぜ合わせてあるだけなので、あまり火が通ってないですからね。そんな始まりだったので、初日のことが一番印象に残っています。ちなみに、食あたりも3回くらい経験すると、大丈夫になるみたいで。僕も、そのあと2回あたりましたけど(笑)。

世界と日本を見ながら、コンサルティングの道へ

GMOリサーチ細川社長

―エチオピアから戻られて、ケンウッド(のちにJVCケンウッドと合併)に入社されていますが、これにはどういった経緯があるんでしょう?

  外交官として働いてみて、予算を使う仕事は自分にはあまり合わないと感じたんです。そのタイミングで、国連職員を目指すのはやめて、MBAに進むという目標に切り替えました。MBAに進むなら、実業を経験していないと意味がないと思ったので、海外の商売ができるケンウッドに入ったというわけなんです。アメリカのMBAって、大学を卒業してすぐに入る人はあまりいないんですね。一度、実業を経験している人がほとんどなので、年齢も30歳くらいの割合が一番多いと思います。

―外交官からケンウッドって、まったく別の業界なので、不思議に思っていたんですが、そういった経緯があったんですね。ケンウッドでは、どんな業務を担当されていたんですか?

  PC用スピーカーやCD-ROMを開発する部署にいました。台湾で設計した商品を中国で生産して、それをアメリカで販売するということをやっていたんですけど、ケンウッドにいた2年間のうち、1年目は中国や台湾に毎月のように行っていたんです。2年目は、アメリカの販売会社の立ち上げに関わっていたので、ほとんどアメリカに駐在しているような状態でしたね。その期間に週末を使ってMBAの勉強をしていたら、合格したので、そのままアメリカのMBAに進みました。

―MBAを卒業後には、コンサルティングの道に進まれていますね。

  はい。MBAでは、経営に関して広く体系的に学んだので、卒業後はそれを活かしたいと思っていました。そこで、アメリカと日本、どちらのコンサルティング会社に入るかという選択肢があったんですけど、当時の自分では、アメリカで働いても現地人には勝てないと思ったんです。まずは日本で経験を積んで実績を出して、またアメリカに仕返ししてやろうと思い、日本のコンサルティング会社で働き始めました。

  そこでは、海外マーケティングのコンサルティングをやっていたんですけど、そのとき初めてインターネットリサーチを使って世界中のデータを集め、お客様のニーズを汲んで商品をつくるというプロセスに関わったんです。インターネットリサーチを使うと、すごく安く早く結果が出るということが見えたので、この分野を自分でやってみたいと思いました。日本企業が世界展開するときに、マーケティングがうまくいっていないという課題も感じたので。

  その後、自分で新規事業の立ち上げに特化したコンサルティング会社をつくって独立したんです。会社といっても、ひとりでやっていたんですけど。それで、GMOメディアアンドソリューションズ(のちに会社分割し、メディア事業は現・GMOメディア株式会社に吸収される)に新規事業立ち上げコンサルティングの営業目的でできていたんですよ。そのときに、「コンサルタントではベンチャーは立ち上がらないから、やるのであれば責任者として立ち上げてみろ」と声を掛けていただいて。それで火がついて個人会社をたたんで、2005年にGMOグループに入社しました。

マーケティングリサーチが持つ可能性を追って

―インターネットリサーチに興味を持たれたのは、コンサルタント時代なんですね。

  そうですね。GMOに入ったのは2005年の1月なんですけど、新規事業開発室長というポジションから始めました。入社するときは「数年後に(リサーチ事業を)スピンアウトしてほしい」って言われていたんですけど、入社1週間後にスピンアウトの時期が5月になったという話を聞いて、「さすがインターネット、スピードが速いな」と思いましたね(笑)。

―リサーチ事業の立ち上げに関わられて、大変だったことはどんなことですか?

  立ち上げのコンサルを経験していたときから、事業の立ち上げっておもしろいなと思っていました。将来に無限の可能性があるじゃないですか。そのイメージを描くのがすごく楽しかったんです。でも、実際に自分が社長になって事業をやるというのは、また違うなと感じました。イメージに描いたようにはならないんですよ。でも、思っていた通りにいかないことを楽しまないといけないと思い始めて。そこからは、楽しくなってきました。始めた当初から、株式公開をすることをひとつのマイルストーンにしていたので、まずはそこまでは何としてでもやろうと。ひたすら自分にムチを打っていました。

―立ち上げ当初は、どのくらいの人数だったんですか?

  会社分割前は4名ですね。僕以外は正社員が一人と派遣社員とアルバイトでした。その後、会社分割直後に入社したアルバイトスタッフのひとりは、役員(取締役)にまでなったんですよ。入ってから2年くらいだったかな? すごくガッツのある人でしたね。やるからには、あきらめずにとことんやるというタイプでした。

―アルバイトとして、会社の立ち上げに携われるというのは貴重な体験ですよね。その後、会社が成長していく中で、ターニングポイントになった出来事はありますか?

  一番印象に残っているのは、やっぱりリーマン・ショックですね。それまでは、ある程度順調に、業績も右肩上がりで、上場直前まで行ったんです。でも、リーマン・ショックで状況は一変しました。リーマン・ショック前は、日本のリサーチ業界におけるプラットフォームを目指していたんですけど、このままじゃダメだと思って。そこから、アジアも視野に入れてビジネスモデルを見直し、中国・シンガポール・インドに拠点をつくって、パネル(調査対象者の集合体)もアジア12ヶ国でそろえました。

今の場所で一番になれるか? 可能性はそこから拓く

GMOリサーチ株式会社-細川慎一社長

―海外事業も展開しながら、2014年10月には、上場されました。まさに今が新たなスタートというタイミングだと思うのですが、今後のGMOリサーチのビジョンをお聞かせください。

  僕らはプラットフォームビジネスなので、デファクトスタンダード(市場上の標準)にならないといけないと思っています。日本はもちろん、アジアにおいても「インターネットリサーチといえばGMOリサーチ」、そう思われるポジションを目指したいです。その上で、調査手法など新しいアイデアを生み出しながら、「世界のリサーチを変える」というのを、その次のステップとして考えたいんですよね。アメリカ発の世界規模の会社ってたくさんあると思うんですけど、日本発の世界規模の会社はまだ少ないですよね。とくにサービス業では。そこを狙いたいです。

―最後に、働くということに疑問を持っている人や、仕事に対して悩んでいる人にメッセージをお願いします。

  僕が信じていることがひとつだけあるんですけど、その人の将来って、すでに決まっていると思っているんですよ。どの道を通って、そこにたどり着くかの違いだけだと思うんです。今の仕事は満足できないとか、この会社しか受からないから行くと言う人がいますけど、そういう人は考え方を変えたほうがいいと、僕は思っていて。今いるところで一番になって、次の可能性が拓けてくるわけなので。やり出したことを最後までやりきらずに、環境を変えたらどうにかなると思っている人は、どこに行っても成功しないと思います。

  よく運がいい人と悪い人がいると言われますけど、運って、別に生まれ持っているものじゃなくて、運がいい人は運をよくする行動ができていると思っているんです。運がいいという人をよく見てみると、物事をポジティブにとらえているんですよね。ポジティブにとらえられる人は、小さなラッキーにも気づけ、そのことに感謝するからそれが連鎖していくんです。だから、自分がいる環境に対して、ポジティブに考え、感謝すること。そして、そこで一番を目指すこと。同じアルバイトでも、「どうせアルバイトだし」って思ってやるのと「正社員以上の仕事をしよう」って思ってやるのとでは、全然違いますからね。そうやっていくと、未来が拓けて行くんじゃないかなと思っています。

  じつは、GMOインターネットグループには「スピリットベンチャー宣言」というものがあって、そこにも同じようなことが書かれているんです。私を含めて、それに賛同するメンバーが集まって会社をつくってきたからこそ、まずは上場というひとつのハードルをみんなで乗り越えられたと思っております。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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