バイト・仕事を楽しむキャリアマガジン

バイト・アルバイトはおすすめディスカバイト > 東京都 > 品川区 > 五反田駅のバイト > 小野裕史

心が動いたらすぐにアクションを起こそう!
― 小さな経験の積み重ねで人生は変わっていく ―

インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナー 小野裕史
小野裕史(おの ひろふみ)
インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナー

1974年生まれ。北海道札幌市出身。東京大学大学院理学系研究科修了。その後、iモードの登場に影響を受け、ITの世界へ。2000年4月、日本IBM システムズ・エンジニアリング株式会社へ入社。2000年9月には社員第一号として株式会社シーエー・モバイルに移り、立ち上げをリードする。2008年株式会社シーエー・モバイル専務取締役を退任後、インフィニティ・ベンチャーズLLPを共同設立。2009年よりランニングを始め、北極や南極、砂漠など、世界中のレースに参加している。著書に『マラソン中毒者(ジャンキー)』(文藝春秋)がある。

アルバイトで経験した50名のマネジメント

インフィニティ・ベンチャーズLLP小野裕史(おの ひろふみ)

―まずは、現在のお仕事について教えてください。

  ベンチャーキャピタルという仕事をしています。日本や中国をメインに将来有望と思われるベンチャー企業を見つけて、株を保有する形で資金を投資するという流れです。それだけではなくて、投資先の企業とともに事業を育てていくということもやっています。僕は最初からベンチャーキャピタルの仕事をしていたわけではなく、自分でベンチャーを作っていました。そのときの経験をもとに、ノウハウやこれまで培ってきた人脈を紹介することで、資金プラスαのサポートをしていくというのが、今の役割ですね。

―学生時代はどんな風に過ごされていましたか?

  1年間浪人をしたんですが、半年間は故郷の札幌で自宅浪人をしていたんです。でも、やっぱり東京に行って勝負がしたいと思って、残りの半年間は東京の予備校に通うことにしました。そのときはお金に余裕がなかったので、400人くらいが住む予備校の寮に入ったんです。寮生とともに8名の予備校OBの大学生がチューター(予備校生に対して個別指導・対応をする現役学生の講師)として住み込んでいたんですが、僕も浪人を卒業して大学生になったときに、チューターをやってみないかと声を掛けられました。そこに住み込みながらバイトができれば、経済的にも親に迷惑がかからないと思い、やることにしたんです。4年間ずっと続けました。

―そのアルバイトではどんなことを得ましたか?

  一人当たり50名の寮生を担当していましたが、今考えてみると、マネジメントのイロハを学ぶいい機会でしたね。みんな人生相談ばかりで誰も勉強の相談なんてしてこなかったですけど(笑)。数ヶ月前までは自分も予備校生だったわけですから、50人相手にマネジメントなんてできるはずないんですけど、やらざるを得ない環境でしたからね。これは普通のバイトではできないことなので、いい経験になりました。

ワクワクする未知なるものを追い求めた学生時代

インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナー小野裕史

―院生時代には生物学者を目指されていたそうですね。

  大学には宇宙物理を学びたいと思って入ったんですが、いざ学び始めたときに全然ワクワクしなかったんですよ。将来の夢が早くも潰えてしまったような気がして、どうしてだろう?と考えたんです。宇宙には解明されていないことがたくさんあるので、非常におもしろいんですが、実際に触れることはできませんよね。そこで初めて、自分は具体的に触れるリアリティーのあるものが好きなんだってことを悟ったんです。リアリティーがある未知なるものって何だろうと考えた結果、生物学に行きつきました。自分の体ももちろん生物ですから、すぐに触れますよね。でも、未知な部分がたくさんある。「あ、これはおもしろい」と思って、研究を始めて、生物学者を目指そうと思いました。

―そこからどのようにしてIT業界に入ることになったんですか?

  その後、宇宙物理に続いて2回目の挫折が訪れるんですよ。生物学は結果が出るまでにとにかく時間がかかる。そこで、また気づいてしまうんです。短期間で白黒はっきりつかないことが嫌いだということに(笑)。そんなとき、たまたま研究室にあったパソコンを触り始めたんですが、コンピュータはインプットしたことに対して、すべて0と1で処理してくれる。しかも、生物は神様が作った設計図を解き明かしていくような作業ですけど、プログラミングは自分が創始者側になれるんですよね。そのままプログラミングにハマって、パソコンでサイトを作るようになりました。

  でも、そこでまた僕にはデザインのセンスがまったくないということに気づくんですね(笑)。そんなときにiモードが登場したんですよ。自分の好きなインターネットが手元でできる。革命が起こるに違いない!と思って、すぐにiモード用のサイトを作ってみたんです。当時のディスプレイは白黒でテキスト中心だったので、デザイン要素なんて必要ないんですね。これは作りやすいと思って、パソコンからモバイルのインターネットへシフトしていきました。

過去に失敗した中国でのビジネスに挑戦したい

インフィニティ・ベンチャーズLLPの代表3名

―大学院卒業後はシステム会社に就職されて、その後、シーエー・モバイルの立ち上げに参画されますよね。その経緯は?

  就職後は、研修を受けながら夜な夜な時間をつくって、大学院時代に制作したモバイルサイトの運営をしていました。徐々にユーザーも増えて、当時20万円ちょっとの月給に対して、5万円くらいがサーバー代として消えていましたね。なんの収益もないのに(笑)。この状況を何とかしたいなと思っていたときに、当時、シーエー・モバイルの取締役でサイバーエージェントの創業メンバーでもある石川篤さん(現・ワンダープラネット株式会社取締役CSO)から共通の友人経由で声を掛けていただいて、お会いすることになったんです。そこで「一緒に働きませんか?」というお話をしてくださって。翌日、人事部に「辞めます」と伝え、そこから10日後くらいにシーエー・モバイルに入りました。辞めるまでの8年間で100以上のサイトの立ち上げに関わったと思います。

―順調に成長していったシーエー・モバイルを辞めて、インフィニティ・ベンチャーズを設立されたのはどのような経緯からですか?

  シーエー・モバイルにいたときから、中国でのビジネスに挑戦したかったんです。日本で起こったモバイルビジネスの波は、人口の多い中国では10倍の規模になって起こるだろうと思ったので、これを逃すわけにはいかないと。実際にシーエー・モバイル時代に中国に子会社をつくったんですが、結果的には失敗しました。時期が早すぎたことと、研究が足りていなかったというのが敗因だと思っています。

  今、一緒にやっている田中(章雄氏/インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナー)は、ちょうどそのときに中国でのビジネスをやり始めていたんですね。それを知って、これは今まで経験したことのないスケールのビジネスに立ち会えるんじゃないかという気持ちが膨らみました。シーエー・モバイルを辞めて、自分で事業を起こすということもできたと思いますし、今後もその可能性はあると思うんですが、ベンチャーキャピタルという仕事は、自分で事業をやる以上のスケール感を体験できるかもしれないと。やっぱりそこでも未知なるものに惹かれましたね。

深く考える前に小さなアクションを起こしてみる

マラソンランナー小野裕史-南極走破

―ベンチャー投資家として活躍する一方で、ランナーという顔も持つ小野さんですが、ランニングを始めた目的はダイエットですよね。目標をクリアした今もずっと続けているのはどうしてですか?

  もともと運動は苦手で嫌いだったんですね。それがダイエット目的でWii Fitのランニングメニューを始めたんですが、家の中でグルグルしているのもつまらないから、外に出てみようとなったんですけど。

  実際にランニングを始めてみてわかったのが、とにかく明確に数字ですぐに返ってくるということなんですね。体重もそうですし、走れる距離やそこにかかる時間、そういうものが日ごとに変わっていくんです。初めて2km走ったときは2日間筋肉痛が続いたのに、2回目のときは1日で済んだとか。僕は経営者でもあるし、理系であったというのもあって、数字ではっきり表れることが好きなんですね。

  ランニングを始めた当時は35歳でしたけど、35年間生きてきて、ちょっと頑張っただけですぐに結果が出ることなんてなかなかなかったんですよ。目的はダイエットでしたが、頑張れば頑張るだけ数字が伸びていくのがおもしろくて、そこから競技寄りに興味が移っていったという感じですね。

―ランニングを始めてからどのくらいの期間を経て、フルマラソンに挑戦したんですか?

  ランニングを始めたのが2009年の8月なんですけど、そのときにフルマラソンに申し込みました。ビジネスにも通じることですが、「できる、できない」は差し置いて、できるかどうかわからないギリギリの目標を設定するというのは有効ですよ。僕がフルマラソンに申し込んだ時点では最長5kmしか走ったことがなかったんで、42kmなんでイメージできなくて。ちょっと不安だったので、エントリーしたフルマラソンが行われる1ヶ月前の10月に行われるハーフマラソンにも申し込んで、それを直近の目標に設定しました。

  人間は目標設定を明確にすることで行動が変わるんです。僕は、目標を設定したら、SNSですぐに公開するようにしています。そのアクション自体にリスクはないですから。宣言してから目標をクリアするための方法を考えて動けばいいんです。まず、小さなアクションを起こすことが大事。これが、僕がよく言う「ノータイムポチリ」ですね。考える前にとにかく動いてみる、ということです。

―ランニングを始めたことで、仕事への向き合い方に変化はありましたか?

  まずはとにかく行動を起こしてみることの重要性っていうのをすぐに感じましたね。それと、走り始めて1~2年くらい経ってからの効果なんですが、他人に対して感謝の気持ちを持てる人間にどんどん変わっていきました。たぶん、シーエー・モバイル時代の僕は、ビジネスマシンに近いような、かなり冷酷で数字中心の人間だったと思うんです(笑)。当たり前のことではあるんですが、マラソンってなかなか自分の力だけではいいパフォーマンスで走りきることはできないんですね。苦しいときに、見ず知らずの沿道の人たちが声を枯らして応援してくれることって、ものすごい勇気になるんです。しかも、その人たちは走っている僕を見て「勇気をもらった」と言ってくれる。

  この経験によって、仕事でも自分中心というところから、win-winということをきちんとやっていこうという意識に変わりました。何事もやってみるというチャレンジ精神と人間味っていうんでしょうか(笑)、このふたつはランニングを通じて30代半ばにして得たことですね。

いくつになっても成長し続ける自分でありたい

小野裕史-砂漠

―小野さんがマラソンを始められてから、周りでもマラソンに参加する人が増えたそうですが、ご自身で「巻き込み力」というようなものがあると感じますか?

  自分では巻き込んでいるという意識はあまりないんですけどね。たとえば、僕がシーエー・モバイルを大きくしていく過程では、自分が夢中になってやっていることを語っているうちに、周りの人が「おもしろそうだな」って思ってくれて、向こうから巻き込まれてきてくれたというか(笑)。そういう人たちが多かったように思います。その物事にいかに情熱を持って、心を傾けてできているかっていうことでしょうね。気持ちが伝わるところに、仕事であってもランであっても人が集まってくるのだと思います。

―働くうえで、小野さんが大切にされているのはどんなことですか?

  まず、自分が関わることすべてにおいて、“プラスサム(付加価値を生む)”のことをつねにやりたいです。できるだけ「未知」なる価値…というと難しいかもしれませんが、少なくとも今まで以上の価値をもたらすようなものをつねに作りたいなという想いがありますね。

  もうひとつは、僕は「トレーニング」という言葉がやっぱりすごく好きなんです。トレーニングという単語の元は「train」で「引っ張られる」っていう意味があるんですけど、いつも自分が“引っ張られている”状況で仕事をしているかというのを考えていますね。仕事が巡航してしまうのはマズイと思っていて、そう感じたらちょっと努力が必要な場面に追い込むか、新たなタスクを課すようにしています。少しでも成長し続けられる環境に身を置くということですね。

  年を重ねれば、頭の回転は鈍くなって、肉体も衰えていきます。でも、経験というのはつねに積み上がっていくものだと思っているので、いかに経験が積み重なる時間の使い方をしているかということを意識しています。

―「未知」というキーワードがお話の中にたくさん出てきましたが、未来というのはまさに未知ですよね。これから訪れる未来、小野さんはどんなことにチャレンジしていきたいですか?

  インターネットを含むテクノロジーの分野は未知なるものにあふれているので、これからもどんなことが起こるか楽しみですよね。たとえば、農業などの第一次産業とテクノロジーを組み合わせることで生まれる産業の変化。このあたりはビジネスのチャンスがたくさんあると思います。

  あとは宇宙に行きたいですね。大学時代に一度は離れてしまった分野ですけど、回り回って。今現在、宇宙に関する事業には多くの企業が投資し始めているんですけど、ここは最高のフロンティアですよね。ただ、事業をするとなると莫大なお金がかかるので、ひとまず、せめて観客という立場でもいいから最前線にいたいなということで。宇宙旅行へのエントリーはすでに「ノータイムポチリ」済みです(笑)。


[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

あわせて読みたい

Career Grooveとは?

「Career Groove(キャリアグルーヴ)」は、様々な業界で活躍している起業家や著名人が語る、バイト・仕事のやりがいや働く楽しさを一人でも多くの人へ伝えるというミッションを持ったウェブマガジンです。

新着記事

Access Ranking

人気のタグ

タグ一覧へ

Social Account