「バイト休むなら代わりを探せ」は違法?悩む前に知っておくべき全知識
「バイトを休むなら代わりを探して」と店長や上司に告げられ、対応に困ることはありませんか?
結論、シフトの代わりを探すよう責任者からスタッフへ一方的な指示を出すと、違法になる可能性があります。
本記事では、バイトを休むときに代わりを探すようバイト先から告げられたときの対応を、法律とともにまとめました。
トラブルに発展させないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
もし、安心して働ける職場を探すなら、アルバイト求人サイト「おすすめディスカバイト」がおすすめです。
厚生労働大臣から「有料職業紹介事業」の許可を受けた株式会社アドヴァンテージが掲載基準を満たした求人だけを掲載しています。
きっと理想のバイト先が見つかるので、下記から求人情報をチェックしてみてください。
※本記事で紹介する内容は、すべて2023年2月現在の情報です。
【目次】
1. 「バイトを休むなら代わりを探せ」は違法になる可能性がある
2. 労働基準法で定められている休日・休憩のルール
3. 休日の他にバイト先が法律に反しているパターンの例
4. 「もしかして違法?」と思えるときにバイトができる3つの対策
5. 【雇用期間別】バイトを退職できる2つのタイミング
6. 安心して働けるバイトを探す2つのコツ
7. さいごに
「バイトを休むなら代わりを探せ」は違法になる可能性がある
「バイトを休むなら代わりを探して」という指示は、違法と判断できるケースががあります。
そのため法律的には、以下の対応を断っても問題ありません。
●バイトを休むときに代わりを見つけること
●代わりを見つけられなくてすぐ辞めること
では、どのような法律が基準になるのかそれぞれ解説します。
バイトを休むときに代わりを見つける義務はない
まず、バイトを休むときに、代わりのスタッフを見つける義務はありません。
労働契約法においては、業務命令権の濫用にあたると判断できるためです。
(労働契約の原則)
第三条5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
引用:労働契約法
上記に書かれているのは、バイト先からの指示であっても、不合理であったり不当な目的があったりする命令には、従わなくても良いということです。
さらに労働基準法では、使用者(=バイト先)に対して「労働者が希望した時期に有給休暇を与えなければならない」と、以下のように決められています。
(年次有給休暇)
第三十九条使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
引用:労働基準法
ここで注意が必要なのは、労働者の希望がすべて無条件で認められるわけではないということです。
使用者が業務に支障をきたすと判断した場合は、有給休暇を取得するタイミングをずらすよう求めても問題ないとされています。
つまり、バイト先だけでなく働くスタッフの合意があることが前提で、どちらか一方的だけの主張は認められないと考えておきましょう。
代わりを見つけられなくてもすぐ辞める必要はない
バイトを休むときに、自分でシフトを代わってくれるスタッフを見つけられなくても、すぐ辞める必要はありません。
労働基準法では、解雇について以下の制限を定めています。
(解雇制限)
第十九条使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。
ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
引用:労働基準法
また、労働基準法 第二十条(解雇の予告)では、解雇するには、30日前に予告する必要があるとしています。
つまり、バイト先から「代わりのスタッフを見つけられないなら、次のシフトから出勤は控えてください」と告げられても、法律的には従う必要がありません。
なお、以下ではバイト先から解雇と言われたときの対処法を紹介しています。あわせてご覧ください。
>>バイト先からクビを言い渡されたら? 不当解雇時の対処法も紹介
バイト先から理不尽な対応を受けないため、バイトをするうえで知っておくべき休みに関する法律は他にもあります。
次で労働基準法に定められている「休日」や「休憩」に関するルールを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
労働基準法で定められている休日・休憩の3つのルール
労働基準法で定められている休日や休憩のルールは、主に以下の3つです。
1.週1日は休日を取る
2.6時間以上働いたら休憩を取る
3.労働時間は1日に8時間・1週間に40時間が原則である
順番に見ていきましょう。
ルール1.週1日は休日を取る
労働基準法によると、使用者(=バイト先)は労働者であるスタッフに対して、週1回の休みを確保する必要があります。
(休日)
第三十五条使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
引用:労働基準法
たとえスタッフが、一日2時間の短い勤務時間で毎日働きたいと希望した場合でも、バイト先は、少なくとも1週間に1日の休みを確保しなければなりません。
ただ、労働基準法第35条では、以下の例外にも触れています。
(休日)
第三十五条二項前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
引用:労働基準法
つまり、原則としては週1回の休みが必要ですが、例外として、4週の間に4日以上の休みがあれば問題ないということです。
もし「短時間の勤務だから毎日出勤してもらわないと困るよ」と強要されたら、労働基準法に違反していないかチェックしてみましょう。
なお、バイトの連勤については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
>>バイト7連勤は違法でない! 法律解説&きついシフトの乗り越え方
ルール2.6時間以上働いたら休憩を取る
(休憩)
第三十四条使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
引用:労働基準法
労働基準法によると、実働時間と休憩時間は上記のとおりです。
つまり休憩中の取り方は、勤務時間によって以下の2パターンがあります。
- 1.実働が6時間を超える場合:最低でも45分の休憩
- 2.実働が8時間を超える場合:最低でも1時間の休憩
また、休憩中は労働者が仕事から離れられることが保障されていなければなりません。
(休憩)
第三十四条三項使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
引用:労働基準法
例えば「休憩中も電話対応はやってね!」と指示されて電話の前で待っている時間は、法律的には『業務の待機時間』と見なされます。
そのため、会社は別で休憩を確保しましょうということです。
ちなみに、バイトの休憩時間については、以下の記事で詳しく解説しています。休憩をもらえないときの対処法もまとめているので、ぜひご覧ください。
>>バイトの休憩時間は6時間を超える勤務で発生!よく分かる法律解説
ルール3.労働時間は1日に8時間、1週間に40時間が原則である
以下のとおり、労働時間は1日8時間、1週間では40時間が原則です。
(労働時間)
第三十二条使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
引用:労働基準法
(労働時間)
第三十二条第二項使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
引用:労働基準法
もし、時間外労働をさせる場合は、バイト先は25%上乗せした賃金を支払う必要があります。
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
引用:労働基準法
労働時間が守られているか、時間外の労働をした場合は割増した賃金が支払われているか、チェックしましょう。
休日の他にバイト先が法律に反しているパターンの例
バイト先が法律に反しているパターンは、以下が挙げられます。
1.18歳未満なのに深夜勤務を求められる
2.18歳未満ができない仕事を担当させられる
それぞれ順番に見ていきましょう。
パターン1.18歳未満なのに深夜勤務を求められる
労働基準法第61条では18歳未満の人に対し、22:00~翌5:00の深夜にあたる勤務を原則禁止しています。
(深夜業)
第六十一条使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。
引用:労働基準法
コンビニやネットカフェなど、深夜営業をしている店はたくさんあります。しかし、上記の時間帯に高校生などの18歳未満の人が働くことはできません。
詳しくは以下の記事で解説していますので、高校生の方はぜひご覧ください。
>>高校生がバイトできる時間は何時まで?18歳未満の人は原則午後10時まで
パターン2.18歳未満ができない仕事を担当させられる
18歳未満の人には業務内容に関する規定もあります。例えば、労働基準法第62条の条文は、以下のようになっています。
(危険有害業務の就業制限)
第六十二条使用者は、満十八才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
引用:労働基準法
(危険有害業務の就業制限)
第六十二条二項使用者は、満十八才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
引用:労働基準法
上記で定めるような危険な業務に、18歳未満の人を就かせてはなりません。
高校生のバイトに関する注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。
>>高校生バイトを雇う時の注意点をわかりやすく解説! 知らなきゃ罰金30万円!?
もしバイト先が労働基準法に違反している可能性があるのなら、退職を考えることも1つの方法です。
バイト先に改善を求める方法もありますが、状況によってはすぐに改善されない場合があります。
労働基準法に順した職場はたくさんあるので、まずは下記から求人をチェックしてみてください。
「もしかして違法?」と思えるときにバイトができる3つの対策
バイト先の対応が違法と思えた場合、対策として考えられる行動は以下の3つです。
1.信頼できる先輩や同僚に相談する
2.専門の機関へ相談する
3.バイトを退職する
順番に紹介します。
対策1.信頼できる先輩や同僚に相談する
まずは、信頼できる先輩や同僚に相談してみましょう。他のスタッフも自分と同じように、待遇で悩んでいるかもしれないからです。
場合によっては、意見を伝えたつもりが不満を言っているだけと誤解され、ハラスメントの被害に遭うケースがあります。
もし他のスタッフも同じ悩みを抱えているのなら、できるだけ仲間と一緒に店長へ相談するのがおすすめです。
対策2.専門の機関へ相談する
先輩や同僚などへ相談したり、バイト先と交渉したりしても状況が改善されない場合、専門機関に頼ってみましょう。
専門機関の例として、以下があります。
|
|
|
バイトや正社員など、たくさんの相談を受けているため、専門家の視点でより具体的なアドバイスや指導を受けられる期待ができます。
バイトの責任者に相談しても改善されないのであれば、専門機関の助けを借りることも検討してみましょう。
対策3.バイトを退職する
待遇がなかなか改善されないなら、バイト先を辞める選択も1つの方法です。労働基準法にしたがってスタッフを雇っているバイト先は、他にもたくさんあります。
法律を無視するようなバイト先で働いていれば、体調面や精神面でダメージを受けるかもしれません。
自分の身を守るためにも、安心して働けるバイト先を探しましょう。
【雇用期間別】バイトを退職できる2つのタイミング
バイトを辞める際は、雇用期間の定めによって適用される法律が異なります。
1.雇用期間の「定めがない」場合は、2週間後
2.雇用期間の「定めがある」場合は、合意を得た後
順番に解説します。
タイミング1.雇用期間の「定めがない」場合は、2週間後
雇用期間の定めがない “無期契約” の人に適用される法律を紹介します。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法
無期契約の場合、退職希望日の2週間前までに辞意の申し出が必要です。「バイトなんだから、明日で辞めても問題ないでしょう」とはなりません。
また、2週間以上前に辞意を申し出ているのに「店長が認めてくれないから辞められない」ということもありません。
とはいえ、就業規則で「1ヵ月前に申し出ること」と定められているのなら、それに従ったほうがトラブルを避けられます。退職を検討している人は就業規則を確認しましょう。
なお、バイトをスムーズに辞める方法は以下で紹介しています。あわせてご覧ください。
>>バイトをスムーズに辞めるには? 辞めるベストな理由、伝え方、申し出るタイミング
タイミング2.雇用期間の「定めがある」場合は、合意を得た後
つづいて、雇用期間の定めがある “有期契約” の人に適用される条文を解説します。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用:民法
「雇用期間:○月○日~×月×日」といったように契約している期間がある場合、基本的には契約終了日まで働かなければなりません。
しかし、民法第628条にあるとおり、以下のような “やむを得ない理由” があれば、契約終了日を迎える前に辞められます。
- 自身が病気で働けなくなった
- 家族の介護をしなければならなくなった
- 配偶者の転勤によって遠方へ引っ越さなければならなくなった
上記のようにバイトの継続が難しい場合、“やむを得ない理由” として認められ、契約終了日前に辞められる可能性があります。
ただし、有期契約であっても労働契約の期間の初日から1年を経過していれば、いつでも辞めることが可能です。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第百三十七条期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
引用:労働基準法
例えば、2023年1月1日~2026年12月31日の雇用契約を結んでいる場合、2024年1月1日から退職理由に関係なく辞められます。
安心して働けるバイトを探す2つのコツ
ここからは、安心して働けるバイトを探すコツを2つ紹介します。
1.先輩や友達の意見を聞いてみる
2.信頼できる求人サイトを利用する
順番に見ていきましょう。
コツ1.家族や友達の意見を聞いてみる
1つ目のコツは、家族や友達の意見を聞いてみることです。まずは応募から採用までに、以下の観点でバイト先をチェックすることをおすすめします。
●理由もなく連絡が遅くなることはないか?
●やむを得ず連絡が遅くなった場合、一言でも謝罪の言葉が添えられているか?
●突然怒るような理不尽な対応はないか?
●質問に丁寧に答えてくれるか?
●人格を否定するような発言はないか?
1つでも悩むことがあれば、家族や友達の意見を聞いてみましょう。バイト先の対応が適切なのか、客観的な立場から意見をもらうことで判断しやすくなります。
コツ2.信頼できる求人サイトを利用する
もう1つのコツは、信頼できる求人サイトを利用することです。
公平な立場で運営している求人サイトでは、バイト先・求職者をともに守るため、ルールを公開しています。
確認しておきたい視点は以下のとおりです。
- 求人の掲載に関して基準を設けているか?
- 審査を通過したバイト先のみ掲載しているか?
求職者を守る対策をしているサイトで仕事を探せば、悪質なバイト先に応募してしまう事態を防げます。
もちろん、求人情報そのものを確認することも大切ですが、判断が難しいケースがあると思うので、まずは求人サイトも信頼できるところを選びましょう。
さいごに
「バイトを休むなら、代わりを探して」という指示は、違法になる可能性があります。
代わりに出勤する人を探す義務はないものの、お店のスムーズな運営のためにも、休みたい日は店長などの責任者へ早めに相談しましょう。
なお、バイト先が労働基準法に違反していると思われた場合は、バイト仲間と一緒に改善をお願いしましょう。
もし、安心して働ける職場を探すなら、アルバイト求人サイト「おすすめディスカバイト」がおすすめです。
厚生労働大臣から「有料職業紹介事業」の許可を受けた株式会社アドヴァンテージが掲載基準を満たした求人だけを掲載しています。
きっと理想のバイト先が見つかるので、下記から求人情報をチェックしてみてください。